「ウルトラテクノロジスト集団」チームラボの都内初の常設であり、フラッグシップ施設が誕生した。1万平方メートルという圧倒的な敷地面積を有する巨大施設は5つの空間で構成され、世界初公開作品を含む約50作品を展示している。中を通り抜けることのできる、穂の付いた稲田や、季節と共に移り変わる景色、触れると散ったり落ちたりする花でいっぱいのデジタルの壁などが展示されている。
ミュージアムのコンセプトは「ボーダレス(Borderless)」。触る、動く、味わうなど、様々な方法で作品に参加しながら楽しむようになっている。
「作品解説や音声ガイドなど、従来の美術館のように、作品理解のために言語に頼る必要はない」と、チームラボ代表取締役社長、猪子寿之が言うように、館内に入ってしまえば、言語や文化、世代を越え、誰もが楽しめる、ボーダレスな空間になっている。
館内には従うべき順路はなく、動き回る作品のように、観客も自由に散策ができる。それぞれの作品に特定の鑑賞角度もない。決められたことやルールに敏感な日本人は、この自由な世界に初め戸惑うかもしれないが、戸惑いさまよっている自分も作品の一部。思い切り楽しむが勝ちだ。
チームラボの最先端技術を駆使し作り出す、観客をも取り込む大規模なデジタルアート作品は、国内のみならず世界中から高評価を得てきた。そんなチームラボが、「拠点である東京に、10年、20年後に振り返ってエポックメイキングとなるような場所を作りたかった」という思いからオープンを目指したのが、このミュージアムだ。
一方、森美術館やギンザシックスなど、国内でもインターナショナルな施設の開発を進める総合ディベロッパー、森ビルも「東京の魅力を上げるべく文化発信の施設を作りたい」と画策していた。そこで世界的に知名度の高いチームラボと組むことで、国内だけでなく、国外からも人を呼び込むことができると踏み、今回のプロジェクトが発足した。
タイムアウト東京も、英語編集チームのスタッフ2人が参加したが、計3時間、どのブースも終始大はしゃぎでこのボーダレスな世界を楽しみ回っていた。新しいツーリストスポットとして、日本を国際都市として発展させる一助になることは間違いないようだ。