喫茶 ドレミ
Photo: Yoichi Sakai|喫茶 ドレミ
Photo: Yoichi Sakai|喫茶 ドレミ

天王寺でしかできない10のこと

2025年リニューアルオープンした大阪市立美術館からレトロ喫茶まで

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2023年に「麻布台ヒルズ森JPタワー」(325メートル)が完成するまで日本一の高さを誇ったビル「あべのハルカス」(300メートル)の麓に広がる、天王寺・阿倍野エリア。キタやミナミに次ぐ繁華街として知られている。

徒歩圏内には「通天閣」がそびえる「新世界」、旧住友家の名園「慶沢園」や動物園、美術館などが点在する広大な天王寺公園があり、同エリアは、さまざまな表情を持ち合わせている。

ここでは、ひと味もふた味も違う個性あふれる天王寺周辺の10のローカルスポットを紹介する。

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四天王寺エリア

虹の仏

学生時代から飲食一筋である伊東亮哉が、「虹の仏」をオープンしたのは2012年のこと。「好きが高じて仏教聖地のインドに行った時に食べたカレーが衝撃で」と語るように、彼のカレーの世界への入り口は仏教だ。そのルーツは、店内の至る所に置かれている仏像を見ても明らかだ。

名物の「出汁キーマ」(1,300円、以下全て税込み)は、スリランカカレーをベースに、魚介だしでマイルドに調和をとっている。和食料理人としての店主の経験を生かした和洋折衷の一品だ。盛りたくさんの副菜は見た目の華やかさだけでなく「甘味、酸味、辛みをバラけさせて全体でまとまった味わいに」と、酸味を抑えめで仕上げたカレーを混ぜ合わせることで、さらに味わいの深い奥行きを生み出している。

プラス300円で、日替わりの辛口カレーと合いがけもできる。濃厚でコク深い「龍の卵」やパリパリ食感の「パパド」など、6種類のトッピングから自分好みにチューンナップできるのも「虹の仏」の楽しみの一つ。夜は、グリーンチリを使ったベンガルオムレツやインドの天ぷらバジャなど、「酒泥棒」なスパイシーなアテをさかなに、酒をたしなむこともできる。グラスでのナチュールワインが種類豊富なのもがうれしい。

店があるのは、日本最古の仏教寺院である四天王寺のすぐ近く。きっとスパイスの「極楽浄土」へ連れて行ってくれるはずだ。

天王寺・阿倍野エリア

他所酒

天王寺駅に直結した「ヴィアあべのウォーク」の1階にある、立ち飲み屋「他所酒(ヨソザケ)」。カウンター中心の小さな店は、「サク飲み」に一人飲み、常連客に初めての人も吸い寄せて、いつもにぎわいを見せている。

ホワイトボードには地酒の名が連なり、1杯380円からという破格で楽しめる。60ミリリットルのグラスなので、土地ごとの味わいを試せる絶好の機会だ。日本酒ファンが目を輝かせるような、レアな日本酒にも出合える。これを目当てにのれんをくぐる客も多い。通でなくとも、つまみに合う日本酒を聞けば、相性抜群の酒を提供してくれるだろう。

日替わりのあては、新鮮な魚の刺し身から揚げ物まで揃う。ネギぬたや、関西では「タイの子」と呼んで親しまれているスケソウダラの卵巣、おでんをはじめ、左党が思い浮かべる品々が季節に合わせてメニューに並ぶ。これらもまた、200〜300円台と良心的な料金設定。気取らないカジュアルな雰囲気も手伝って、人気店にならないわけがない。

他所酒は、向かいにある、1938年創業の老舗居酒屋「明治屋」の2号店だ。90年近く客を魅了してきた、丁寧な仕事ぶりは、同店にもしっかり引き継がれている。

  • アート

大阪市立美術館

「天王寺公園」の中に位置する「大阪市立美術館」。その敷地は住友家の本邸があった所で、同館の建設を目的に、庭園の「慶沢園」とともに大阪市に寄贈された。

1936年の開館以来初となる大規模改修を終えた同館は、2025年3月1日にリニューアルオープンを迎えた。改修コンセプトの一つは「ひらかれた美術館」。気軽に行きにくいという美術館や博物館のイメージを払拭(ふっしょく)するため、中央ホールを無料ゾーンとした。

また、改修前は特別展の前後に展示替えにより休館時期があったが、改修後は休館せずに年間300日ほど「ひらかれる」ことになった。

そして、1階を企画展示、2階を特別展の会場とし、企画展はコレクションから毎回テーマを変えて作品を展示。世界的なコレクションとして知られる中国の石仏や絵画、貴重な日本の仏教美術、絵画、工芸品などのほか、超絶技巧の印籠や根付などを堪能できる。

これまで高評価を受けてきた特別展も、東洋、日本美術から西洋美術に至るまで、幅広い分野で特別展を開催する予定だ。

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  • Things to do

ハルカス300

日本で2番目に高いビル「あべのハルカス」の展望台。58階、59階、60階の三層構造となっており、天気が良ければ、大阪エリアのほか、京都エリアや淡路島などを一望できる。

2018年3月には、地上300メートルのビル最頂端部に設置されたデッキの上を、命綱を装着して歩くというアトラクション「エッジ  ザ ハルカス」も誕生した。展望台からガラス越しに見る景色でさえ大迫力なのに、360度何もさえぎるものがない状態で、眼下に広がる街並みを眺められるとあっては、想像以上のスリルと感動を得られることだろう。

  • ヘルス&ビューティー

日之出湯

再開発によってすっかりオシャレになった天王寺・阿倍野エリア。しかし、ワンブロック中に歩みを進めれば、このエリアの居住区としての風景に出合うことができる。大きな煙突を見つけたら、まずはリフレッシュするが吉。そこにあるのは、美容と健康がテーマの「日之出湯」だ。

入浴料金を支払って、スタンダードジャズが流れる小粋な脱衣所に入る。目を見張るのは、天井を悠々と泳ぐ108匹のコイ。この作品は京都の「ロックな」壁画家・木村英輝によるもので、浴場に向かうテンションを高めてくれる。

中に入ってからもうれしい驚きは止まらない。水素露天風呂や黄金に輝く水風呂、強めの刺激がやみつきになる電気風呂など、個性的なラインアップが迎えてくれる。さらには群馬県の名湯・伊香保温泉を再現した薬湯もあり、都会にいながらプチ旅行気分も味わえる。

富士山の溶岩を用いたフィンランド式サウナは、「サウナー」にはたまらない110度という高めの温度設定(男湯)。ここはワンコインで心も体も満たされる、湯のテーマパークと言っても過言ではないだろう。

さらにここは「美容銭湯」をうたっているだけあり、「枇杷蒸し」(30分 1,600円)や高気圧酸素カプセル(70分2,000円、入浴付き)などのオプションサービスも充実。大阪に来たら外せない銭湯の一つだ。

新世界エリア

  • ショッピング

ボヤージュ キッズ

新世界にあるローカルカルチャースポット。店先に並ぶのはストリートアーティスト自らが作るZINEやバッジ、Tシャツなど、ここでしか出合えないものばかりだ。

店主は、2012年から「Zine Swap Meet Camp」という一風変わった活動を行っている。軽トラックなどで全国各地に出向いてポップアップショップスタイルでZINEなどを販売し、現地で出会った仲間たちと新たなクリエーションを生み出してきた。

2015年の旅の途中、ひょんなことから大阪の新世界で開店したのが「ボヤージュ キッズ(VOYAGE KIDS)」だ。じわじわとファンを獲得し、今では、最「尖」端ローカルカルチャーの集積地としての地位を確立している。ちなみに、前述した活動風景をしおりとして束ねた「Zine Swap Meet Camp」も同店で購入できる。

また、ゆかりのあるアーティストやレーベルなどが参加したTシャツ展「TEES RUN EVERYWHERE」といったイベントを頻繁に主催。2021年末からは店の真隣に、その名も「マトナリ(matonari)」というカルチャースペースを設け、陶芸教室や手作り石けんのワークショップなどを行っている。

不定休があるため、訪れる際は事前に公式Instagramをチェックしてほしい。

  • ホテル

THE PAX HOSTELと僕のバインミー

大阪の「ザ・下町」として知られ、外国人観光客にも人気の新世界。そのエリアのランドマークである「通天閣」のお膝元に、ホステルと「バインミー」専門のカフェが入った複合施設がある。

オーナーで音楽家でもあるアチャコ(大阪の福島でスパイスカレー店、奈良の生駒でピザレストランも経営)が世界を巡り、出合ったスパイスの配合で作られる「自家製ローストチキンのバインミー」(700円)は、ピリッと辛いチリマヨソースが後を引き、格別だ。

東京の人気ベーカリー「シニフィアンシニフィエ」の志賀シェフが技術指導する「ヴィゼポレール」に特注しているバゲットには、ビーツが練り込まれており、味だけでなく見た目も普通とは異なるバインミーが楽しめる。

さらに「芥川珈琲」の名称でも展開している自家焙煎(ばいせん)コーヒーや、コショウとクローブを使った「自家製ジンジャーソーダ」(550円)など、オリジナリティーがあふれるドリンクメニューも見逃せない。カフェ内には滑り台まであり、大人から子どもまで楽しめる造りになっている。

カフェの上が宿泊施設になっており、ドミトリーをはじめ1〜4人で泊まれる個室も完備。系列店に長年福島で営業しているゲストハウス「由苑」があり、運営もしっかりしているため、客側も安心して泊まれるといえるだろう。

ホステルに泊まりつつ、小腹が空いたらバインミー、もしくは出かける前に「TO GOバインミー」をオーダーしてみてはどうだろうか。

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  • カフェ・喫茶店

喫茶 ドレミ

新世界のシンボル・通天閣のたもとで1967年から営業を続ける喫茶店。緑のツタに覆われた建物が印象的で、食品サンプルが並ぶ入り口のショーケースにも心が躍る。

店内を彩るのは、朱色の椅子や丸みを帯びた銀色のランプなど、レトロ感漂うインテリアの数々。新聞を片手に静かにコーヒーを飲む常連客もいれば、ガイドブックを広げて次の行き先を楽しそうに話す観光客もいる。それが、この店の日常風景だ。

ウエーター姿のネコが描かれたメニュー表を開くと、鉄板で焼き上げる分厚いホットケーキや緑色に輝くクリームソーダ、ハムや卵のサンドイッチなど、「喫茶店といえば」の王道メニューが名を連ねる。

中でもひときわ目を引くのが「プリンローヤル」。中央に控えるプリンの周りには、リンゴ、バナナ、黄桃、オレンジ、パイナップル……とあふれんばかりのフルーツが盛り付けられている。そのたたずまいは、「ローヤル」の名のごとく気品すら漂う。創業当時のレシピを守り、「柔らか過ぎず、硬過ぎず」手作りされたプリンは、口当たりは滑らかで、ミルキーな味わいの後にカラメルの苦味がふわっと広がる。

「プリン」は単品の注文もできるので、気分に合わせて選んでみよう。

  • アトラクション

タワースライダー

2022年5月、大阪の観光名所「通天閣」に誕生したアトラクション。透明なチューブ状の滑走路が塔を取り巻くように巡らされており、地上22メートルの中間展望台から外周を1回転半し、地下1階まで滑り落ちるという全長60メートルの体感系滑り台だ。

受付を済ませて荷物を預けたら、エレベーターで中間展望台へ。カメラに向かって手を振ったら約10秒間の小宇宙旅行がスタートする。体感としては10秒よりも短く、一瞬で終わってしまうので、しっかりと記憶に残したいのであれば、集中力を高めてから滑り出すのがおすすめだ。

利用料金は、大人が1,000円、小学生から中学生が500円。滑り終えた後には、スタート直前とゴール時の瞬間が収められた動画が無料でダウンロードでき、ちょっとシュールな大阪土産が手に入る。地震などの非常時には、避難路としても使用されることも覚えておきたい。

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  • アトラクション
  • アーケード&娯楽場

スマートボール ニュースター

大阪唯一のスマートボール専門店。スマートボールとはアナログピンボールゲームの一種で、手動で球を打ち出す遊びだ。専門店は全国でも非常に珍しい。約50台が、50年以上前から変わらぬ姿で並ぶ光景は圧巻で、店内にはジャラジャラと球がぶつかり合うにぎやかな音が鳴り響いている。法律上、パチンコ店と同様の営業に該当するため、18歳未満は入場不可なので注意してほしい。

遊び方はとても簡単で、好きな台を選んで100円玉を入れたらゲームスタート。25個の球が出てくるので、手元にあるバーを引いて球を打ち出そう。数字が書かれた穴に球が入れば、同じ数の球が出てくる。これを繰り返して持ち球をどんどん増やしていくだけだ。

ちなみに台は7種のデザインがあり、それぞれにくぎの打ち方が異なるので、いろいろな台を試し打ちしてみるのも楽しい。

中央の「15」の穴に球が入ればラッキーチャンス到来。閉じているバーが開き、新たな「15」の穴が一定時間出現する。この間にどんどん球を打って大量獲得を目指そう。最終的に手元に残った玉は20個から菓子やぬいぐるみと交換できる。

1球ずつ打ち確実にホールインを狙うもよし、連打して球の予測不可能な動きを楽しむもよし。単純だからこそ夢中になる、昔懐かしい遊びをぜひ体験してみては。

月に2回ほど水曜日に不定休があるので、訪れる前に電話で確認することをお勧めする。

大阪の街をもっと楽しむなら……

  • Things to do

大阪の交通の要所である、梅田。大阪駅もここにあり新大阪駅までは一駅、私鉄の駅もあり、関西各地とつながっている。駅と駅を結ぶ迷宮のような地下街が巡らされ、通勤に観光に多くの人が行き交う。

現在、再開発が進行しており、2025年3月には「グラングリーン大阪南館」が完成。ますます人をひきつける、いま注目の街だ。

ここでは梅田に近年登場した新しい顔から定番まで、うどん、立ち飲み、イタリアン、純喫茶、ショップなど20のヴェニューを紹介する。来阪時に通過するだけではもったいない。ぜひ梅田で大阪気分を満喫してほしい。

  • ナイトライフ

夜のとばりが降りる頃、大阪の街はますます活気付くようにすら感じられる。本記事では、工業地帯に突如現れるクラブや、極上の音とともに酒が楽しめるバー、チームラボが手がけるアートプロジェクト、23時まで営業する屋外インフィニティプール、息を飲む美しさの夜景が広がる展望台、一夜の終着地にもぴったりの老舗うどん店など、幅広いジャンルのヴェニューをカテゴリごとに紹介する。

遊びたい夜はもちろんだが、しっとりと過ごしたい夜にも満足できる、粒揃いのスポットばかりのはず。最高の夜遊びの参考になれば幸いだ。

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  • Things to do

難波とともに「ミナミ」を構成する心斎橋は、大阪屈指のショッピングエリア。御堂筋を中心に海外のブランド店やデパートが立ち並ぶ。

東心斎橋には居酒屋やバー、高級クラブが点在する夜の街が広がり、ネオンきらめく店が連なる。また、西心斎橋にはカルチャー発信地のアメリカ村があり、関連記事で紹介するレコードショップなども多数店を構える。同じ街でも、複数の顔を併せ持つのが魅力だ。

ここでは、心斎橋・アメリカ村の北に位置する本町とともに20のスポットを紹介する。粉もんからビーガン料理、アートスポットまでユニークなヴェニューを包み込む大阪随一の繁華街を探訪してみては。

  • Things to do

グリコやかに道楽の巨大な看板が目をひく道頓堀は、大阪の紹介映像で必ず映し出される街。また難波には笑いの殿堂「なんばグランド花月」があり、このミナミの2つの繁華街は大阪を象徴するヴェニューにあふれたエリアだ。

ここでは、たこ焼きや上方寿司といった大阪名物から中古レコード店、料理本専門店まで、個性際立つ店を紹介する。

難波にあるディープスポット「味園ユニバース」は閉館が決まってしまったが、姿が見えなくなっていたくいだおれ太郎はリニューアルするビルで巨大化して帰ってくる。街のさまに入れ替わりはあるものの、変わらない大阪の姿がここにはある。こてこての大阪を味わうなら、難波と道頓堀を訪ねてみよう。

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  • ショッピング

東京の道具街といえば、「かっぱ橋道具街」が知られているが、それより古い歴史を有するといわれるのが、大阪ミナミの「千日前道具屋筋商店街」だ。全長約150メートルのアーケード商店街には、料理道具の専門店がずらり。飲食店を始めるなら道具筋へ、と厨房品が何でも揃う場所として知られている。日本の丁寧な手仕事の評価は高く、近年では外国人観光客の姿も目立つようになった。

ここでは刃物から食品サンプル、プロが通う料理書を中心に扱う書店まで、道具筋の専門店を6つ紹介する。料理道具は手入れを怠らなければ、末永く使える。一生ものとの出合いを求めて出かけてみては。

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