「シェア音楽棚テント(tent)」は、シェアスペース型のレコード店だ。月額3,900円(税込み)で32センチメートル四方の棚をレンタルし、誰でも自由にレコードやCDを販売できる。
売り手は棚主と呼ばれ、個人が買いためたレコードを出品したり、ミュージシャンが自主制作盤を販売したりするケースが多いが、中には11歳の少年やカレー屋のオーナーなど50件以上の出店がある。
2022年9月にオープンした同店。店主の明澤夕子は音楽好きが集まる飲食店を経営していたが、コロナ禍をきっかけに転身。一棚書店が話題になっていたことから、音楽とシェア型ビジネスの組み合わせを思いついたのだそうだ。
値付けから商品紹介のタグ制作まで全て棚主が行うため、当人の個性や趣向が凝縮されるのはもちろん、思い出までもが棚の中にあふれている。
店内には利用者が自由に書き込めるノートが置かれ、棚主からの新商品の入荷連絡や、客からのリクエストが書き込まれる。
趣味の合う棚主と買い手が友人になったり、棚主同士がイベントを開催するきっかけになったりと、単に音源を販売するだけでなく、音楽を通じた人と人とのつながりを生み出す点に、このレコード店の真の価値があるのかもしれない。