店自体に客をつける
そもそもDJバーとはなにか。踊ることができるスペースもあり、明け方まで営業している店も多いので、はた目には小箱クラブとどう違うのか、分かりにくい部分もある。法的には、敷地面積や店の構造などで業態が分けられるのだが、クラブ営業ができる許可を取りながら、DJバーとして営業している店もある。
ブリッジの営業スタイルは、先述したような後続の店にも踏襲されていて、クラブ好きも楽しめ、かつクラブよりも気軽で間口が広い店=DJバーの基本ルールになりつつある。
特に特徴的な部分は、「エントランス(チャージ)料金が固定されていて、1,000円前後とクラブよりも安く」「平日も毎日DJが入り」「ローカルのDJを中心にブッキングする」ことだろう。
有泉がブリッジで固めたこの営業スタイルは、どのような背景で生まれたのか。
「大人の遊び場を作りたい、という構想がまずありました。そして、イベントで集客するのではなく、お店自体にお客さんがつくようなやり方にしたかった。
そのためには、いつ行っても1,000円で入れて、お酒がおいしくて、店がきれいで、気持ちのいいスタッフがいる店にする。音楽も、一度来たお客さんがリピートしてくれた時にも満足できるよう、その店らしさが出るようにコントロールする。それを続けていくうちに、お客さんとの信頼関係が築くことができたのがブリッジ。曜日ごとにレギュラーを置いたDJのメンツも、オープン当初からほぼ変わっていません」
DJをただ出演者として扱うのではなく、ともに店の個性を作り上げていく仲間として捉える。どこか、かつてのライブハウスとバンドが運命を分かち合っていた時代のあり方にも似ている。多くのクラブを手がけていた有泉だからこそ、「店に客をつける」ことの難しさと大切さ、そして面白さを知っているのだろう。