2023年の「EUフィルムデーズ」のオランダ枠。今回が日本初上映となる自閉症の男性であるケース・モッマが親離れし自立していく過程を追ったドキュメンタリー作品だ。
彼が生まれて以来、両親にとって生活の中心はいつもケースだった。365日24時間サポートし続けて暮らしてきた母子は、互いの存在なくして生きていけるのか。手がけるのは、オランダのドキュメンタリー作品を数多く手がけてきたモニーク・ノルテ。ケースを主人公にした作品は同作で3本目となる。予期せぬ別れの時が来る前に、緩やかに準備を始める家族の姿を追う。
「8050問題」と自閉症が混ざり合ったシビアなテーマながら、ユーモラスで無邪気な一面をのぞかせるケースの姿に勇気と希望をもらうだろう。
同じく前日譚(たん)で、ケースの将来を案じる80歳と83歳の両親が息子のために献身する姿を描いたドキュメンタリー作品「ケースのためにできること」も同時上映される。オランダでは300万人以上が観賞したヒット作だ。併せて観賞すれば、自閉症や障がいのある子のいる家族の一筋縄ではいかないドラマをたっぷりと楽しめるだろう。