江戸時代にタイムスリップしたかのような、洗練を極めた情緒溢れるレストラン。ここは同時に、新設の日本エミレーツハラルセンターから最初にハラルの認定を受けた店でもある。豪華な料亭風にしつらえた店へと続く小径は、異世界に足を踏み入れる心の準備をさせてくれる。デコラティブなコンクリートの建物の間を進み、3階まで上がると目の前に日本庭園が現れる。そこを抜ければ、西麻布ひでの入り口だ。
コースは、『しゃぶすき』『季節のおばんざい』『朝獲れ魚のおつくり』、天ぷらを含む8品からなる『しゃぶすきこコース』と、土鍋で炊いた日本でも最高ランクの『コシヒカリ』が食べられる『粋酔(いきよい)コース』の2つから選ぶことができる。筆者は後者を選んだが、味も見た目も本当に素晴らしく、胃袋もすっかり満たされた。
素材は全て東京近郊の農家や漁師(店名に江戸が入る由縁だ)から買い付けた、新鮮な魚介類や野菜を使っており、うま味がしっかりと引き出されていた。今のところ使用している肉類はいずれも証明書付きのアメリカ産だが、将来はハラル和牛を使った料理を検討しているという。
『粋酔』についてもう少し説明すると、ワサビがちょこっと乗った胡麻豆腐、旬野菜のしょうゆの炒め煮、しっかりした味の刺し身(しめさばではなく生のサバを使ってあり、素晴らしかった)。その味の深さからこの場にあるわけのないチャーシューを想起させる脂の乗ったアブラボウズ。そしてもちろん土鍋の『コシヒカリ』。鮭、塩、梅干しとかつお節で味付けをした粥(かゆ)は絶品だった。スタッフはとてもフレンドリ―で博識。もしカウンター席に座れたなら、ぜひ彼らとの会話を楽しんでほしい。
最後に飲み物について、ハラル認証店とはいえアルコールもそろっていることは述べておこう(もし飲むなら利酒を試したい)。またソフトドリンクのメニューも豊富だ。個人的には、ワインボトルで提供される種類豊富な緑茶が印象的だった。ひででの食事は決して安いとは言えないが(ディナーは8000円〜)、忘れられない食体験ができると断言しよう。もしムスリムの知人や友だちを豪華なレストランに連れて行きたいなら、有力な候補になるだろう。
※要予約