シェフの石山竜也は、神楽坂の懐石料理店「石かわ」で3年、ミシュラン二つ星店の「蓮」で立ち上げから8年以上腕をふるった経験を持つ。開店が2017年とは思えない趣が漂っているのも、石山が持つ豊富な経験が要因なのかもしれない。飾り気のないカウンター、見事な器、そして極上の風味を引き出すべく最高級の素材にほんの少しだけ手を加えた、美しく気品ある料理。あらゆる断片から、同店の気品をうかがうことができる。
編集部が味わった料理は、だしと醤油のゼリーに封じ込められたジュンサイ、卵黄の中にイカの刺身をひたしたもの、そして貝。すべてが度肝を抜かれる味わいだった。それでも、ここには形式ばった堅苦しさは少しもない。石山は、生産者と彼の客とを繋ぐことに注力しており、彼の料理を通して客に日本の最良のものを紹介しているのだ。
メニューに関しては交渉は難しいが(ベジタリアンの方々は覚えておいてほしい)、ドリンク類に関しては相談できる。公式のペアリングはなく、日本酒、焼酎、ウィスキー、ワインの豊富なリストから客の好みに応じて、石山が選んでくれる。