皇琲亭はオーク材と偽チューダー調の内装で、イギリスのパブと英国喫茶室を足して2で割ったようである。店内では絶え間なくモーツァルトが流れ、ドイツビールも提供されている。少し頭が混乱してしまいそうだ。ただ、店名が示しているように、この店のコーヒーが客を引き寄せている。それは1980年代初頭より名高い評判を得てきた。コーヒーの選択肢は大量で、メニューはあたかも小さなガイドブックのようである。ただ、ご想像のとおり、これこそがこの店の出す問題である。だが店員の知識もしっかりしており、メニュー選びを手伝ってくれる。我々の場合は、コロンビア産のビンテージ豆を使ったコーヒーを最終的に勧めてくれた。1994年の豆が使われているこのコーヒーは自然な甘みを持った風味を誇り、味は我々が想像していたものよりはるかに軽いものだった。店主がゆっくりと10分かけてドリップするのを眺めるのもこの店の特徴かもしれない。不思議な場所ではあるが、ネオンのうるさい明かりと雑踏でごった返す池袋にあるとは思えない静かな空間である。
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