谷根千の通称「へび道」沿いにある古いマンションの1階に、週末限定でオープンする小さなカフェ。1杯ずつ丁寧にドリップされるコーヒーや、手作りのジンジャーシロップを使ったドリンク、焼き菓子やスープなどの軽食を中心に提供している。高い天井を持つ店舗の設計は、向島の爬虫類館分館、千駄木の檸檬の実、千駄木空間、caikot(現dou dou)など、建物と資材の歴史までをも感じさせるような、温もりと静謐の共存する設計で知られる建築家、ナカニシミチヤによるもの。古い磨りガラスの建具から入る自然光をいかし、人口の照明を抑えた店内には、穏やかでどこか神聖な雰囲気が流れており、まるで小さな古い礼拝所を訪れたかのような気持ちにさせてくれる。コンクリートのままのフロアや木製のカウンター、使い込まれたテーブルや椅子、さりげなく置かれた什器やドライフラワー、そして、吸い込まれてしまいそうなほど深く複雑に塗り上げられたブルーの壁など、一見無造作でありながら、すべての要素が憎いくらいに調和を保っており、東京藝術大学出身の店主の識見の高さに思わずため息が漏れるほど。カフェ営業は原則として土曜日と日曜日のみとなっているが、毎週火曜日には埼玉県行田市に工房を構える出張パン屋、ツキモバザールが出店。卵、バター不使用の自家製天然酵母パンを販売している。何気ない日常のひとときを美しく特別な瞬間に変えてくれる空間に、ぜひ浸ってみてほしい。
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