「池尻大橋にはマダムローズの餃子を出す店がある」。そう聞くと妖しげな響きに身構えてしまうが、提供する店は拍子抜けするほど居心地の良いところだ。もともとは、70歳を超えるマダムが家庭で作っていた餃子だったのだが、その味に惚れこんだ知人が、店をオープンする際に口説き落し、彼女は家族以外のためにも餃子をつくることになった。そこから「マダムローズ」を名乗るようになったという。
2011年、新宿にて小さな店を構えると、独特の味が評判を呼び、噂を聞きつけた美食家たちも訪れるようになったという。その後インドネシアのバリ島にも支店を構えるが、新宿店は閉店。2015年に池尻大橋にて再スタートを切ることとなる。食通の多い町でオープンするにあたり、より良質な素材を使用し、新たな餃子メニューも開発した。
まず頼むべきは『はじまりの膳』だ。定番の『あおば餃子』ほか、鶏とパクチーを組み合わせたものや、野菜のみの餃子、海老が丸ごと入ったものなど、5種類の餃子が1つずつ食べられるので、好みの餃子が見つかるはずだ。『あおば餃子』は鶏出汁入りの餡(あん)のとろとろとした食感に驚くだろう。これがマダムの魔法と言うべきか、同じレシピで作ってもこの食感を再現することは難しい。店で出す餃子は今もすべて彼女ひとりの手で作られている。新宿時代に常連のホステスたちからのリクエストを受けて生まれたという、ニンニクを使用しないショウガバージョンも用意されているので、次の予定を気にせずに訪れてほしい。佐賀のユズ農家が作る柚子胡椒、バリの店舗の定番を日本向けにアレンジした池尻サンバル、具沢山の手作りラー油といったタレの、ひとつひとつにもこだわりを感じることだろう。
ドリンクは、パイナップル半分を絞って作る贅沢なパイナップルサワーをぜひ。絞るたびに繊維が溜まるため、2杯3杯と飲むほど果肉感が増し、より美味しいサワーになっていく。そのほか、アルコールメニューは、スパークリングの日本酒、梅酒など飲みやすいものを多く取り揃えている。
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