「鶏、丸ごと一羽、鶏づくし」というのが、さしずめこの三軒茶屋の焼き鳥店のモットーだろうか。床島では、むね肉、手羽、ももなどの定番から驚きの部位まで20種類の焼き鳥が食べられる。店主の床島は、焼き鳥ができ上がる全過程の細部にまでこだわる完璧主義者なので、心臓や腹膜といった珍しい部位を食べてみたい人も心配は無用だ。良い素材を最高のタイミングで料理するために、世田谷区から食鳥処理認可証を取得。鶏の魔術師、床島が自ら厨房で肉質に弾力があるフランス血統の丸鶏の解体を行い、新鮮な肉を提供している。さばいたら、店内のカウンターで目を離さずじっくり炭火焼にする。濃厚な風味は、燃えている炭に鶏の脂が落ちて生じるそうだ。
塩、胡椒、少しのタレというシンプルな味付けが、鶏肉の本来の味を際立たせる。美しく洗練された店内は、壁と床島のいるカウンターに濃色の木の板が貼られ、客は床島が一串一串、丁寧に焼き上げるところを目の前で見ることができる。鶏肉を食べない人には明らかに向かない店だが、鶏肉ファンや上質な日本酒好きには太鼓判を押せる。日本酒の品揃えも素晴らしいのだ。口の中で弾ける濃厚な卵巣(ちょうちん)はとても美味しい。また、ドリンクは日本酒が常時40種以上揃っている。