代官山駅から徒歩3分の場所にある、1976年開業の老舗のメキシカン。日本の多くのメキシコ料理店はテックスメックス(テキサス流メキシカン)のメニューを提供するが、同店は40年前から純粋な伝統的メキシカンにこだわり続けている。オーナーシェフの渡辺康生(わたなべ・ようせい)は、1970年代初頭にメキシコ本国で修業を積んだ、日本のメキシコ料理界の草分け的存在だ。1990年代には人気テレビ番組、料理の鉄人にも出演。
「ワカモーレ」(唐辛子入りアボカドディップのトルティージャチップス添え)、店内で焼き上げる自家製タコス、実はアメリカではなくメキシコが発祥だという「シーザーサラダ」、「ケサディージャ」(トルティージャのチーズ包み揚げ)、人気メニューの「カラモネス・アル・モジョ・デ・アジョ」(エビのニンニク炒め)、「ポージョ・アル・アヒージョ」(若鶏の唐辛子風味)などのメキシカンの伝統メニューが食べられる。同店の料理はどれを食べても唐辛子の辛さや素材の味が際立ち、日本人好みに寄せないシェフの意図が、普段メキシカンを食べ慣れない客にも感じられるだろう。
こぢんまりした店内はメキシコ現地のムードにあふれ、料理と一緒にテキーラやマルガリータを飲めば、疲れた日でも気分が上がりそうだ。
テキスト:浅野 陽子(フードライター)