青山一丁目にある「イノベーティブ・フュージョン」料理を提供するレストラン、ナリサワ(NARISAWA)。2018年のミシュラン東京では二つ星を獲得し、また料理界のアカデミー賞である『ワールド50ベストレストラン』に10年連続選出されている。東京を代表する名店の一つだ。
オーナーシェフの成澤由浩(なりさわ・よしひろ)は、2010年にスペインの最高峰の料理学会、マドリッド・フュージョンで、「世界で最も影響力あるシェフ」に選ばれ、また2018年には、フランスに本部がある国際ガストロノミー学会の最高位、グランプリを受賞。
同賞は「フレンチの神様」と呼ばれるジョエル・ロブションや「史上最年少三つ星獲得シェフ」のアラン・デュカス、スペイン伝説のレストラン、エル・ブリの料理長フェラン・アドリアなど、世界トップクラスの料理人のみが授与されているが、アジア人としての受賞は成澤が史上初となった。成澤も、日本のトップシェフの一人である。
ナリサワでは、成澤自身が感じた、日本古来の豊かな自然(里山)を皿の上で再現するという、成澤独自の「イノベーティブ里山キュイジーヌ」(革新的里山料理)をコースで提供。特に客の目の前で焼き上げる『森のパン』とコケに見立てたバターには感銘を受ける。一度訪れた客は、グルメを超えたその世界観に圧倒される。最近では外国人客が増えているが、20年以上通い詰める日本人客も少なくない。
関連記事:
『成澤由浩シェフ、グランプリ獲得』
テキスト:浅野 陽子(フードライター)