千駄ヶ谷にある隠れ家のような全20席の店で、辻大輔が特別な時間を提供するコンヴィヴィオ(Convivio)。トスカーナの家庭料理をベースに新しいエッセンスを加えたイタリア料理が味わえる。コースメニューのみの提供で、エントラータ(ひと口料理)からドルチェ(デザート)まで彼の先導する旅に同行するかのようだ。もちろん、最後まで途中下車という選択肢は脳裏に浮かばない。
月替わりのコースには、地方から取り寄せた季節の食材を主に使用(オリーブオイル、チーズ、加工肉はイタリアから輸入)。彼の才能を証明するスペシャリテ『カーチョ・エ・ぺぺ』は定番となっている。おそらく最もシンプルなパスタでありながら、その味は間違いない。たっぷりの卵を小麦粉に加えて練り上げたフィットチーネは、濃い黄金色をしており、豊かな風味を味わえる。パスタを練る工程での手触りの良さから、フランスの小麦粉を使用。手作業で太めにカットしたフィットチーネに、バター、ペコリーノトスカーノとグラナパダーノのチーズを加え、粗挽きした黒胡椒をたっぷりと添えた逸品は、パスタのもちもちした食感、チーズの塩分、黒胡椒のアクセントと程よい食感が見事なバランスを作り上げている。
月替わりのメインディッシュには、鹿児島で育ったトスカーナ産の品種チンタセネーゼ豚を中心に、豚肉が使用されることが多い。ジューシーな豚の肩肉には、じゃがいものピューレ、フランスのジロール茸、こんがりと焼かれたパン粉、アマランサスのベビーリーフが添えられていた。『Convivioコース』は1万3,200円(別途サービス料10%)だが、まずは5,500円のランチから利用してみるのもおすすめだ。