高級料理として認識されている懐石を、もっとカジュアルなものとして捉え直してもらおうという考えのもと営業している店。確かに、内装もその一端を担っているようだ。伝統的な日本の台所と食堂の居心地の良さにヒントを得て設計されたものだそうで、ゆっくりとくつろげる雰囲気がある。
シェフであり店主の林亮平の作品ショーケースとも言える、おまかせコース料理は1万6,500円。素材は全て、林が日本中の農家や漁師から直接仕入れてきたものだ。彼の料理は、懐石本来の精巧さや優雅さを特色としているが、ルールに縛られてはいない。料理はまずいくつかの魚料理から始まり、牛肉などの重めの料理へと移り、寿司の盛り合わせと、イリコで出汁を取ったにゅうめんの椀で締められる。米と味噌汁で締めないところがポイントだ。
林が本領を発揮するのは魚料理であり、昔から愛されてきた食材を現代でも使用するべく、常に新しい方法を探求している。普段は出会えないような、林の魚への愛が詰まった料理は味わってみる価値ありだ。