昔から金融の街として栄え、今も大阪を代表するオフィス街の一つである北浜。大阪弁で言うところのまさに「シュッとした」場所である。そんな街にピッタリのつけ麺店を紹介したい。現代的な小料理屋を思わせる黒い外観に、上品にはためく生成りののれん。そこに書かれているのは「つけ麺 井手」の文字だ。
つけ麺を冠しているだけあって、まずキラリと光るのは麺のクオリティー。全粒粉を用いた自家製の太麺はしっかりとしたコシがあり、かむほどに麺そのものの風味が立ち上ってくる。かむという行為はこんなにも気持ちよく、おいしいことだったのかと感動するだろう。実はこの麺、うどんの製法を応用して作られている。小麦の弾力が最大限に引き出された、いわば「うどん×ラーメンのハイブリッド麺」である。
当然、この麺と対等に渡り合うには、それ相応のつけ汁でなくてはならない。白ネギやチャーシュー、メンマがたっぷり入った魚介豚骨のスープはとても濃厚で、存在感を放つ。しかし、不思議なことに全くくどくない。聞けば「脂ではなく、コラーゲンで濃さを出しているから」だそう。むしろ、ユズの香りが爽やかに抜ける上品な後口は、小料理屋で和食を食べたかのような気分にさせる。
洗練された「つけ麺」(880円、以下全て税込み)を食べられるわけだが、いくら「シュッとした」ビジネスパーソンでも腹が減っては戦ができぬ。麺の量を並(200グラム)と大(300グラム)から選べるのがうれしいところである。ランチ時にはミニライス付きの「カレーつけ麺」(980円)もおすすめだ。