店主野中は10年前に半年間タイを旅し、人生が変わった。独学でタイ料理を学び、今では東京で本格的なタイ料理を提供することに情熱を燃やしている。この店の味はバンコクの美味い食堂のそれとそっくりだ。多国籍な雰囲気の気取らない店内には長机が並び、グループで訪れるのにぴったり。壁にはモノクロのタイの写真が飾られている。
野中は1人で店を切り盛りする。サラダ、スープ、カレー、麺類と多岐にわたるメニューをどうやったら1人でまかなえるのか不思議でならない。忙しい時間帯はなおさらだが、それでも慌てることなくこなしている。鶏肉のココナッツスープからは完璧なバランスでミックスされたガランガルとレモングラスが香り立ち、中国は海南省の伝統的な鶏飯をタイ風にアレンジした『カオマンガイ』もなんともいい匂いを放っている。卵、ピーナッツ、干し海老、パクチー、海老の入った焼きそば『パッタイ』は見事に調理され、盛り付けも芸術的だ。もちろん『シンハ―ビール』も飲めるし、デザートにはタピオカ入りのココナッツミルクもある。大人数のグループならコースが10品で3,000円、12品で4,500円ととても良心的価格。繰り返し、何度も訪れたくなる店だ。