フランス料理が高級料理の典型であると考えられる一方で、カレーは日本の家庭料理の具現化だ。2つの世界が交わることは滅多にないが、スプーンが提供する異色の『フレンチカレー』はそれらの文化と食体験をつなぐ驚くべき架け橋となっている。和田シェフがオートキュイジーヌや東京都心の高級フレンチレストランで10年以上経験を積んだ後に変化を求めて作り出したユニークな『フレンチカレー』は、中粗挽きにした13種のスパイスがカレーに新食感を生み、柔らかなトロトロ牛肉のワイン煮が添えられた新しいカレーだ。
13という数字は、スプーンにとってラッキーナンバーのようだ。ライスに含まれる雑穀の種類、カレーに合うフランス、イタリア、アメリカなどから選んだワインセレクションの種類にも、13の数字が使われている。カレーのほかには、9種類のメニューと季節のメニュー1種類がある。定番の『トマトのムースとレモンのジュレ』も人気だ。名前の通り、ムースと野菜とジュレが層を織りなす逸品で、まるで高級なメニューのように聞こえるが、スプーンの料理はそうではない。手頃な値段でフォトジェニックな逸品とともに舌が喜ぶ冒険に出られる。
品質が重視されながらもやたらと豪華なものは場違いな感じがする西荻窪エリアで、同店の心意気が高く評価されている。オープンキッチンを囲むように11名が座れるカウンター席を配備。ランチや週末には行列が途切れることはないので、開店10分前に来店するのが賢明だ。