住宅街の一角に佇むイタリア料理とワインの店「シオリ(siori)」。オーナーの達城宗和は、イタリアン一筋で25年のキャリアを積んだ後、住み慣れた清澄白河に同店をオープンさせた。店名には「この店が街のしおりのような存在になれば」という願いが込められている。
アフリカ産アサメラの一枚板で作られた全長11mのカウンターテーブルが奥に延びた店内は、重厚感と温かみが両立しており、心地よい。
料理は、旬の食材に合わせて3、4日ごとにメニューを変えるという。取材時は、「枝豆とマスカルポーネのクロスティーニ」(780円、以下全て税込み)と「豚肉の田舎風パテ」(1,580円)を提供してくれた。クロスティーニとはイタリアのパン料理で、酸味の少ない自家製フォカッチャにチーズや豆などが乗っている。「グラナ・パダーノ」というハードタイプのチーズと粒感の残った茶豆はまろやかさと苦みの塩梅が絶妙だ。
また、パテは数少ない定番商品の一つ。牛乳ではなく、日本酒を用いて臭みを抜いており、とろけるような優しい味わいだ。ほかにも、つまみ感覚で楽しめる料理が多く、前菜はいくつかオーダーすると、盛り合わせにしてくれるのもうれしい(時とタイミングによる)。
ワイン選びは品種や産地にこだわらず、作り手の思いを大切にしていると達城は言う。共感したインポーターからセレクトし、取り寄せたワインは300種ほど揃う。