名前もなければ、看板もないラーメン店。と聞けば、ラーメン好きでなくとも興味は湧くが、店のたたずまいも想像の斜め横をいく。地上にすらなく、地下1階に店舗を構える。
階段を下りて扉を開けると、コンクリート打ち放しの空間が広がる。今どきのラーメン店に珍しくはないが、カウンターまでは一拍置く。ラーメン劇場の始まりだ。まるで能舞台のように、左右に植栽のある短い渡り廊下を通ってたどり着く。テーブルが3、4卓置けそうなものの、カウンター12席だけの贅沢な造りである。
着丼に至るまでの舞台演出はばっちりで、器も「ロイヤルコペンハーゲン」に「ストウブ」と抜かりはない。
メニューは、「らーめん」「つけめん」「カレーつけめん」のどれか、麺は「定番の麺」もしくは「柚子麺」から選べ、豚骨と鶏がらに煮干鰹を合わせた濃厚なスープと絶妙な調和を生み出す。さらにトッピングを「もつ」「チャーシュー」「黒毛和牛」からチョイスできる。
いずれを選んでも、評判は上々。食べ終わる頃には、次回はカレーつけめんにもつをトッピングしようかなどと、「演者」を変えたメニューを試したくなっているのだ。