一度聞いたら忘れられない名前のラーメン屋には、一度も食べたことのないつけ麺があった。「俺の名はJ」という店名と真っ黒な看板から、どんな武骨な食べ物が出てくるのかと想像していたが、そこで出合ったのは繊細な「白い」世界。店主は「外見とラーメンが一致しないとよく言われます」と笑う。
彼が作る「コラーゲンつけ麺」(930円、税込み)は、乳製品は一切使っていないのにとてもクリーミーで、豚の臭みはなく、うまみの存在感は抜群。その秘密は冷蔵庫から取り出された、チーズケーキのような白い塊にあった……。
実はこれ、豚足と鶏の足から取ったコラーゲンだけのスープを固めたもの。ここに豚骨スープを合わせることで、オンリーワンな白いつけ汁が生まれる。片栗粉ではなくコラーゲン由来の「とろっ」なのだから、口当たりの心地よさにも納得するだろう。
スープに浸される麺はモチっとした心地よい弾力があり、小麦粉の風味を感じる。喉越しも滑らかで、まさに「良質」という言葉がピッタリだ。それもそのはず、聞けば香り高い北海道産のブランド粉や食感を出すためのうどん粉など、5種類もの小麦粉を最高のバランスでミックスした特注麺とのこと。この唯一無二のつけ麺のためなら、わざわざ大阪市の南端、北加賀屋まで足を運ぶ価値はある。