1970年、上野で創業し、1978年に根津に移転した串揚げ専門店。1917(大正6)年竣工の、総けやき造り木造3階建ての日本家屋は根津エリアのランドマークとなっている。もともとは下駄の爪皮を扱う商店が所有する建物だったが、1970年代には運送会社の手に渡り、独身寮として使用されていた。
初代が散歩中、貫禄あるたたずまいにひと目惚れし、住居兼店舗として買い取ったのが根津本店の始まり。その後、隣接する2つの町屋を入手し、それぞれをつなぎ現在の姿に。1999年には国の登録有形文化財となった。
見どころは店内に建つ明治時代の土蔵だ。梁をめぐらせた吹き抜けは密室ながら開放感が格別。2階と3階の座敷は下町風情を色濃く感じることができる。ミシミシと音を立てる急な階段に懐かしさを覚える人も少なくないだろう。
串揚げは肉、魚介、野菜など常時30種類以上を用意。きめ細かなパン粉をまとわせて揚げた串は驚くほど軽い口当たり。メニューは季節に応じて変わり、「ポロネギとパンチェッタ」や「三つ葉の鱚巻き」といった独創性あふれるメニューも楽しい。