神楽坂、早稲田通り中ほどあたりを1本入った路地に佇む同店は小さな店だが、肌寒さが増しておでんが恋しい季節ともなれば、連日予約で満席になる。おでんと炭火焼の2つを主軸に、良質な鮮魚を用いた刺身などの一品料理も充実しているという、酒飲み泣かせの店だ。
特筆すべきは、注文ごとに小さな銅鍋で丁寧に仕上げるおでん。鮮度の良いアジを使う「あじつみれ」は、口の中でほろほろとほどける一品。薬味の香りがアジの風味をより一層引き立てる。また、身厚のハマグリを1つだけ朱塗りの椀に盛り、たっぷりの出汁を張った潔いといえる一品や、完璧な半熟に茹でた卵を出汁で温めたものなど、素材そのものに焦点を絞ったおでんが印象的だ。メニューには、おでんの盛り合わせもあるが、好みのおでん種を1つずつ注文して味わいたくなるはず。大人のためのおでん屋と言えるだろう。
関連記事
『神楽坂、ご近所ガイド』
『東京、おでんの名店15選』