「ドヤ街」として全国的に知られる西成の釜ヶ崎にある、ゲストハウス兼カフェ。詩人の上田假奈代(うえだ・かなよ)が代表を務めるNPO法人「 こえとことばとこころの部屋(ココルーム)」が運営しており、表現活動によるホームレス支援の先駆的な例として大きな注目を集めている。
2003年にカフェとしてオープンしたココルームは、2008年に釜ヶ崎へ移転して以来、コロナ禍も含め、休むことなく活動を続けてきた。2016年から始めたゲストハウス事業では、それぞれの客室で絵画や詩、立体作品などの表現を楽しめる。
表情豊かな庭を併設するカフェは、コーヒーやビールなどのドリンクのほか、決まった時間にスタッフを含むその場にいる人みんなで食卓を囲む「まかないごはん」も提供。ふらりと立ち寄った人が洗い物を手伝うなど、フレンドリーな雰囲気を目の当たりにできる。
1970年の「大阪万博」を筆頭に、大規模な開発事業のために全国から日雇い労働者が集まった釜ヶ崎。当時の移住者が高齢になる中、改めて再開発が急ピッチで進められているエリアでもある。ぜひ、この場所に集まる人々と食卓を囲むことで、大阪のもう一つの近代史に思いを巡らせてほしい。