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池袋西口公園に響き渡る楽団の音色は、街に貼り付く不安な空気を軽やかな喜びに変えた。
2020年9月26日、池袋西口公園グローバルリングで豊島区主催の無料クラシックコンサート『Tokyo Music Evening Yube 西本智実&イルミナートフィルハーモニーオーケストラ』が開催された。
同プログラムは池袋のナイトライフ観光の⼀環として、グローバルリング(GLOBAL RING THEATRE)で定期開催している野外コンサートだ。コロナ禍で休止していたが9月から復活し、今公演はその第2段に当たる。
今回指揮をした西本智実は、イルミナートフィルハーモニーオーケストラを率いて、バチカン国際音楽祭より名誉パートナーオーケストラの称号授与、東南アジア諸国連合(ASEAN)の委嘱作品世界初演や、2019年ヨーロッパ文化支援財団(EUFSC)より日本初演ツアーに指名されるなど、国際的に評価されるまでリーダーシップを発揮し世界の注目を集めている人物だ。
今公演は、ソーシャルディスタンスを保てる席数分(約160席)での都民だけを対象とした事前抽選制だったが、10倍以上もの応募があったことからその人気のほどが分かるだろう。
演目は、ヨゼフ フランツ ワーグナー作曲『双頭の鷲の旗の下に(イルミナートフィル版)』、チャイコフスキーの『交響曲第4番Op.36 第4楽章』、オッフェンバックの喜歌劇「天国と地獄」より『カンカン』、ヨハン シュトラウス1世作曲の『ラデツキー行進曲』など5曲を披露。
クラシックコンサートでは珍しく、ピアソラの代表曲『リベルタンゴ』をアドリブで演奏するなど、野心的な試みも見られた。
西本は幕あいのトークで「カフェや往来のざわめきが間近に聞こえる街中で、こんな風に演奏会をできるのがとても楽しい」と弾むような声で語った。
各楽曲ごとに「運命を拓(ひら)こう!」など観客へのメッセージもディスプレーに表示。観客は手拍子で会場一体となり、素晴らしい音楽の夕べを満喫した。杉並区から来たという男女二人連れはインタビューに対し、「初めて参加したが素晴らしい演奏で、とても楽しかった」と顔をほころばせていた。
また、幕あいのトークには手話、英語翻訳が通され、次回演目の案内ではスクリーンに字幕文が表示されるなど、「あらゆる人に楽しんでもらう」という気持ちが強く感じられるイベントとなっていた。公式YouTubeチャンネルでも近々、無料配信があるので、現地で見ることができなかった人はぜひチェックしてみてほしい。
『Tokyo Music Evening Yube』の次回の開催は、10月7日(水)に『青島広志の10倍楽しいオペラ』(申込受付はすでに終了)。次々回の11月1日(日)は、再び西本智実&イルミナートフィルハーモニーオーケストラが、佐久間良子を特別出演に迎えての演奏会が開催予定。客からのリクエスト曲をプログラムに組み込んでくれるそう。公演が待ち遠しくなる粋な計らいだ。リクエストしたい場合は、西本智実の公式コンタクトフォームへ連絡してみよう。演奏会の事前申し込み受け付けは、10月9日(金)からスタートする。
クラシックの入り口にはぴったりの演目なので、これを機に予定してみてはいかがだろう。
『Tokyo Music Evening Yube』の詳細情報はこちら
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