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築地は古くから漁業や日本と諸外国を繋ぐ港として栄えた街。江戸初期に埋め立てによって作られ、2018年10月に豊洲へと場内市場が移転した後も、東京の食文化を支える台所としての風格は衰えていない。近年では、日本のローカルを知ることができる街として、訪日外国人観光客からも人気のスポットとなっている。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大により状況は一変。飲食店は営業自粛、年配の常連客は重症化リスクが高く出歩けず、渡航制限により観光客もいない。築地は今、かつてのにぎわいからは想像もつかないほど閑散としていた。
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築地の魅力を発信する有志団体が立ち上げたクラウドファンディング
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配送可能な物販店とは異なり、飲食店は大きな打撃を受けている。そんな店舗を救うべく、有志団体「築地はしご酒実行委員会」が、このほどクラウドファンディングを開始した。
「築地はしご酒実行委員会」は以前から、海鮮や物販だけではない築地の魅力を発信するため、築地にある個人経営飲食店を集めたはしご酒イベントを6年にわたって開催している。本プロジェクトの発案者である「はしご酒実行委員会」の長生庵 松本聰一郎と伊藤海苔店 伊藤信吾は、コロナウイルスの影響で不安が渦巻く築地を見て、すぐに行動に移すことを最優先したという。参加店を集め回った結果、50店舗もの飲食店がプロジェクトに参加を表明した。
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伊藤「最初は中央区にも声をかけました。しかし組織が大きくなればなるほど、説明や申請に時間がかかる。ならば有志の団体で理解のある人の集まりでやろうと考えました」
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「以前のお昼時は、毎日ほぼ満席状態でした」と語るのは、プロジェクト参加店の一つである鮨國の店主、國場美光。今の店内はお昼どきにもかかわらずほとんどが空席だ。寿司屋を営む國場とのり屋の伊藤は、それぞれの家族ぐるみの付き合いがあるという。そんな距離の近さも、掘り下げれば見えてくる築地の面白さなのだそう。
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本プロジェクトのリターン品には、購入時に指定した店舗でリーズナブルに使用できる『やくそくお食事券』を用意。届いてからすぐに使える食事券は、購入額よりも10%安く食事を楽しむことができる。購入金は指定した店に100%入る仕組みとなっており、各店の常連が行きつけの店に支援できるシステムにしたそうだ。
また「築地はしご酒実行委員会」は、団体のホームページ上にテイクアウトガイドを作成し、営業自粛の中でも奮闘する店の支援も行っている。
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第一目標をクリアした本プロジェクト。今後は、近隣の医療機関従事者への110万円分の食事券寄付や、子ども食堂へ築地の食材提供を予定し、第二目標の1,000万円達成に向けて活動を続けている。
『築地の飲食店をお食事券で応援しよう!#がんばろう築地はしご酒』
支援募集終了日:2020年7月21日(火)午後11時
詳細はこちら
築地テイクアウトガイドはこちら
テキスト:西山綾加
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