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少しずつだが、東京はかつての活気を取り戻しつつある。2020年6月19日に発表された休業要請の全面解除によって、東京の夜を活気づけるライブハウスやクラブ、バーなどが営業再開した。当面の間は東京都やライブハウス業界団体が発表したガイドラインに沿っての営業となるが、これでようやく業界は再スタートを切ることになる。
しかし、「夜の街」という言葉とともに流れる世間の風潮は否めない。たくさんの課題を背負いながらではあるが、東京のナイトシーンを今後どのように盛り上げていくべきなのか。今年15周年を迎えるミュージックバー、OATHも6月18日にようやく営業再開をしたところだ。同店の店長を務め、姉妹店である青山トンネルのマネージメントなどにも携わってきた植松彬に今後の方向性について話を聞いた。
ー緊急宣言下の渋谷を見ることになったと思いますが、その様子や周りの反応を見て、感じたことを教えてください。
街から人が消えて文化的な活動が失われていく過程と、新たな文化が生まれる期待を感じました。
ーシーンにとって逆境ではありますが、逆に小箱が注目されたり、小箱でしかできないようなことも生まれてくるかもしれませんね。
そうですね。日本のローカルDJの底上げや新規クラウドの獲得が今後の課題だと思います、まだ営業再開して間もないので、お客さんの流れやニーズをしっかり捉えて店作りをしていきたいです。
ークラブやライブハウスをはじめ、ナイトシーンそのものに偏見を持つ人も増えているように感じられます。今までのように営業していくため、対策などはありますか?
OATHと青山トンネルでは入店時に検温と手指の消毒、QRコードを読み取っていただくことをお願いしています。キャパシティーの50%で人数制限を実施し、できる限りの対策を行なっています。
ーDJやプロモーターがストリーミングを使ったイベントなどを始め、クラブのオンライン化が定着してきていますが、配信などは考えていますか。
店の空間、音響と現場に来て初めて伝わる商品価値だと思うのでストリーミング配信の予定はありませんが、サウンドクラウドでレギュラーDJのMIXが聴くことができます。
ーナイトシーンを含め、ポストコロナ時代の社会や環境は以前と比べてどのように変わっていくと思いますか?
変化の中に文化的な要素が生まれてくると思うので、そういった意味ではこれからいろいろなパーティーやアーティストが出てくるのかなと思います。
ーここ最近では、ようやく東京でもナイトシーンやクラブ業界がインバウンドとしても注目されていました。海外からの観光客が激減した東京で、シーンの立て直しを図っていくにはどうしたらいいでしょうか?
店側とDJ、パーティで日本人の地元のお客さんを増やしていく取り組みをしていくことが今後の観光客の評価に繋がると思います。
ー大きく都市開発が進んだ渋谷の今後について思うことがあれば教えてください。
新しいものと昔からのものの共存が課題でもあるし、個性的なお店は渋谷にはまだ多くあるので色んなお客さんが訪れてくれることを期待してます。
ー今後もOATHやトンネルだからできること、小箱、ミュージックバーとして音楽を伝える環境や工夫について教えてください。
これまでと変わらずそこにあることと新しいものを取り入れながらも、ブレずに良いものを届け続けることに努力していきます。
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