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東京の空き家をサステナブルに占拠し続けるSKWAT活動とは

南青山にアートブックであふれた空間が期間を決めずにオープン

テキスト:
Genya Aoki
SKWAT/twelvebooks
Kisa Toyoshima
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2020年5月29日、表参道の一等地みゆき通りの中程にスクワット/トウェルブブックス(SKWAT/twelvebooks)がオープンした。スクワットは設計事務所ダイケイ ミルズ(DAIKEI MILLS)が始動させたプロジェクト。都心の空きスペースで文化的なコンテンツを通じて人が集う場を空き物件期間だけ作り出す活動だ。同店はスクワット活動の第四弾に当たる拠点で、初回のサウザンドブックス(Thousandbooks)を共に実施したトウェルブブックスとの再タッグとなる。

一言で束ねることができない魅力を秘めたスクワットとは一体何なのか、プロジェクトの発起人であるダイケイ ミルズ代表の中村圭佑とボードメンバーであるトウェルブブックス代表、濱中敦史に同活動への思いと、今回のスクワット/トウェルブブックスはどんな空間なのか聞いてみた。

SKWAT/twelvebooks
右: 中村圭佑/ダイケイ ミルズ代表。日本・東京を拠点に活動するデザイン・設計事務所であり、過去には南青山のエイベックス本社やシボネ、artek tokyo storeなども手がけた。 左: 濱中敦史/トウェルブブックス代表。海外出版社のアートブックの国内総合代理店として流通やプロモーションを行うほか、関連作家の展覧会企画などのプロジェクトも手がけている(Photo:Kisa Toyshima)

スクワットが目指すのは、公園のような空間

中村: 東京の一等地には、有名ブランドショップや巨大施設のような、明確な目的を持った場がひしめいています。そうした中に目的が提示されていない、計画されすぎていない空間があること自体、カウンター性の高い特別な場になると考えました。そんな「公園」や「図書館」のような多様な目的を許容できる公共性の高い場をイメージし、自分の生業である建築に、読み物は人の拠り所として重要な装置だという感覚をミックスし、今回はアートブックを中心にした空間を作りました。

濱中: トラフィックの多い場所にあることは重要なことでした。実感として、普段の生活圏内にないものは強い目的意識がないと足を運ばない。それは僕たちの考える公園とは少し違います。休憩やちょっと本を読みたいときなどふらっと入れる場所であることが大切で、デザインやサービスにもそうした余白を常に意識しています。

SKWAT/twelvebooks
2階はトウェルブブックスのストアであると同時にオフィス、倉庫、サロン機能も有している。濱中は「購入目的ではなく図書館のように自由に手に取り、席に座って読むなどもしてほしい」と語る(Photo:Kisa Toyshima)

循環する空き家占拠活動

スクワットという単語は、イギリスやオランダなど欧米諸国で貧しいミュージシャンや若い芸術家など住む場所に困っている人々が、空き家や空きビルを無断で占拠する行為を指しており、同プロジェクトもここから取られている。

中村: 東京2020オリンピック・パラリンピック以降、東京の施設や住居は空白化していくのが予想されます。そうした中で無駄なく「空き家を占拠」するというイメージを元に、その場にあるものや余っているものを生かして最小限の手間とコストで最大限の効果を発揮する空間にすることも大きなテーマです

濱中: 今施設で言えば、青山シボネが同時期に移転する際廃棄予定になっていた本棚やシームレス照明を譲り受けています。また、倉庫でもあるという点を生かして魅せ方を意識しつつ同じ本を大量に並べることでインスタレーションのような効果も発揮しています。

中村: この空間を作るために新たに資材を探して手配することは極力しません。この場所がもつ特性を生かし、あるものを活用して構成しています。

突発的で生々しい空間に人は集まる

SKWAT/twelvebooks
1階のスペースは、 Kvadratによるテキスタイルストアを6月13日までポップアップで展開した後は、あえて計画しなかったそう。筆者が伺った際はソファや机が並び、ロビーのようになっていた。来週にはまた違っているかもしれない。こうした俊敏性のある空間もまた同店の魅力だ(Photo:Kisa Toyshima)


中村: 過去イギリスに住んでいた際に、実際にスクワットされた空間に足を運んだことがあります。そこは予定調和とは無縁な、生々しさに満ちあふれた空間そのものでした。そういった生きた空間こそが今の東京に強く響くと感じ、この活動を始めました。

同時に、フィジカルな体験は物質性よりも記憶に焼きつくかどうかが重要だという思いにも結びついています。それはどこで、どういう風に体験し、どう感じたのかというインパクトをいかに大きくできるかということであり、予定調和でない方が多くを得られるのではないかと考えています。

濱中: 一回一回の小さなハプニングの積み重ねを楽しんで欲しいという気持ちもあります。「ここはこういう店」と決めずに、自分が行った時と誰かのSNS投稿などで見た時は、全然違うレイアウトになっていたり新しいアート作品が展示されているのを面白がってもらえる場所になればうれしいです。

今後しばらくの間は、同地での営業を中長期的に予定している。また、同建物内でのさらなる拡張も視野に入れ、複合的なアートセンターとして形を変えていくそう。どんな空間が生まれるのかこれからも目が離せない。

スクワット/トウェルブブックスの詳しい情報はこちら

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