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早咲きの桜が散り始めた3月末日、ある新しいTwitterアカウントが誕生し瞬く間に話題をさらった。アカウント名は「新宿ボンベイは閉店いたします」。1973年創業の、新宿の人気インドカレー店、新宿ボンベイが4月末に閉店するということで、同店のスタッフが作った。開発が進む新宿で集客に悩んだ末の結論かと思いきや、ボンベイを侮(あなど)るなかれ。都内で5本の指に入るであろう老舗インドカレー屋の人気は45年経っても衰えず、売り上げは好調だった。ランチ時間帯には行列ができるほどの人気で、まだ半世紀は続く余力はあるようだ。
閉店理由は、ボンベイを閉めて和食レストランをやろうという親会社の決定。突如この事実を告げられ、決定に抗(あらが)えないスタッフが、怒りとやるせない思いを吐き出すべく開設したのがこのアカウント。開設後、わずか1日でフォロワーは約2000人、【拡散希望】の悲痛のツイートは既に1万3000以上のリツイートがされ、閉店反対に賛同する声が次々とあがっている。
都内の飲食事情に詳しい関係者は、親会社の経営状態の悪化を閉店の要因として指摘。「会社の存続のためには業態変換が必要ということではないか。これだけファンがいる店がなくなるのはもったいない」と声を落とす。タイムアウト東京もオススメのインドカレー店のひとつとして紹介しているため、無くなってしまうのはとても悲しい。どこの都市でも、地元の人に長く愛されるレストランがあるというのは魅力であり、自分たちが海外に行く際も、味わってみたいと思うのはその国の人が愛する味だからだ。
4月末日の閉店予定日までに大衆の声が届き、何か動きがあるか否か。これからの動向が気になるところだ。もしこのまま閉店してしまったとしても、長年東京人の空腹を満たし、愛されてきたボンベイは私たちの記憶に残るだろう。