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テキスト:高木望
東京のナイトタイムエコノミーの盛り上げに繋がるか。2019年6月3日、東京都と公益財団法人東京観光財団が、ナイトライフ観光振興助成金の募集を開始し、各方面で話題となっている。
通年・単発イベント、ガイドブック作成なども対象
東京都の公式サイトによると、主に2つのパターンの取り組みを支援対象としている。
(A)通年計画で実施する新たなナイトライフイベントなど
(B)地域の新たなナイトライフの取組
助成金の受給者としては、自治体や観光協会、商工会、エリアマネジメント、民間事業者などが想定されるだろう。
(A)の場合は、以下の条件をクリアしたイベントが助成金の対象となる。
・原則同一の場所で定期的に開催
・日没後から20時00分以降まで実施
・多くの観光客を集客する
・助成対象期間以降も継続して実施する計画を有するもの
例えばクラブイベントであれば、定期開催されているレギュラーパーティーなども対象となる。また、屋内外は問わず、多くの人を収容できる一定のスペースを有する場所での開催であることも条件だ。
東京都のサイトには、「この時に、ここに行けば、ナイトライフを楽しめる」と思われるような、地域の特長を生かした新たなナイトライフイベントと記されているため、例えばビッグゲストを呼び込みたいものの、資金繰りに悩むイベントオーガナイザーにはぴったりだろう。
では単発イベントは恩恵を受けられないのかというと、そういうわけでもないようだ。もう一つの条件(B)では、ナイトライフ観光冊子の作成やPR活動だけではなく、単発実施のイベント事業者も対象となる。一夜だけの大規模なイベントを開催する場合も支援が期待できる。また、ナイトイベントに関するZINEやパンフレットの発行を考えている場合も支援対象となり、クリエーティブな分野にも恩恵がありそうだ。
支援金は最大1億円、グローバルなイベントを生み出すチャンス
今回の事業は、東京都が企画する「2020年に向けた実行プラン」の一環。東京を訪れる外国人旅行者が昼だけでなく、夜の時間帯も楽しめる場所づくりの推進が背景にある。助成額は対象経費の3分の2以内が対象で、同一の実施主体による申請は1件までとなるが、通年イベントの場合は最大1億円、振興に向けた取り組みの場合でも最大500万円の助成金を受けることが可能だ。資金繰りに悩むイベンターにとっては発起するチャンスとなるはずだ。
応募期間は7月19日(金)まで。支援対象者は書類審査、プレゼンテーション審査を経て決定する。申請に当たっては、集客目標の設定や、外国人旅行者と日本人の両方を対象としたイベント内容とすることなど細かい条件があり、ハードルの高さは未知数といえる。しかし、この取り組みが事業者やイベンターの心強い後ろ盾となることを期待したい。