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外出自粛や休業要請が続く東京都。先日、15日の記者会見では、早ければ5月26日(火)から休業要請を一部解除とし、徐々に緩和していく方針が述べられたが、都内の飲食店の経営は厳しい状況にある。なかでも人の集まる「3密」に該当し、クラスターが発生しやすい場所として挙げられた夜の街の接客業界は、今後の営業について決断を迫られている。そんな現状を、『東京、ネオスナック8選』でも紹介したハイパースナック サザナミのオーナー、町田博雅に聞いてみた。
店の看板を守るための選択
ハイパースナック サザナミは、渋谷と銀座に2店舗を持つカラオケスナックだ。両店舗ともに、常連客をはじめ、ふらりと訪れた客同士の交流が生まれる場所として、訪れる人々が途切れない場所でもある。今回の新型コロナウイルスの影響を受け、町田は銀座店を閉めることを決断したという。
「銀座の街は、接待や打ち上げなど会社の経費を使い来てくれるお客さんが多く、一方渋谷は個人客が多い。両店の経営と今後の社会情勢を考えた時、店の看板を守るために銀座店の閉店を決断しました」
オンラインスナック宣言! 今できることを発信
現在、休業期間中のハイパースナック サザナミは「お酒の前売り割引メニュー」とし、ボトルの予約購入やTシャツの販売を行っている。また、「オンラインスナック」としてYoutubeチャンネルを開設し、店主の町田自らホステスとともに歌謡曲の解説や酒に合うつまみなどを語る「よもやま話」を配信中だ。
今後の営業については6月1日(月)から渋谷店の営業再開を予定しているほか、UberEatsのスナックバージョンとして、酒と小型カラオケを持参し自宅に出向く「出張スナック」などの話も出ているという。町田は店の今後について以下のように語った。
「再開後、当面の間は4人以上の団体客は断り、19〜24時の営業とします。銀座店の閉店は、今後を考えた上での決断でもある。これからコロナ第2波、3波が予想されるなかで営業を続けるには、全て終息した2、3年後まで体力を残すことが重要だと考えています」
クラウドファンディングや先払いシステムなどの対策、一方で声を挙げられない店も
四谷の会員制スナック アーバンは、営業再開後に初回客でも使えるフリードリンクチケットや、店への「おひねりチケット」など、先払いシステムを販売することで話題を呼んだ。
また、蒲田で約50年の歴史を持ち、さまざまな業界からのファンも多い老舗カラオケスナック 東京オアシスでも、現在クラウドファンディングを募集している。
一方で、スナックは長年の経営の上、店主やママが高齢であることも多い。声を挙げないまま、ひっそりと閉める店が増えることも予想されている。
昭和に生まれたスナックは、現代でも老若男女のファンが途切れない。ふと立ち寄れるスナックや小さな飲み屋など、夜の街の文化とその場所に癒しを得た人々の交流は、今後も決して絶えることはないだろう。夜の街のこれからを守るために、いち客としてできることを考えたい。
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