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2020年5月25日に東京都でも非常事態宣言が解除され、多くの外食店は新型コロナウイルス感染予防の対策を練り営業再開を始めた。6月11日に「東京アラート」は解除されたが、外食店にかつてのにぎわいが戻るのは当分先のことだろう。
そんな混迷の時代の中、レストランはどんな対策をしていくことが今の正しい安心安全なのだろうか。「5つの感染拡大予防策」や「感染防止のための6つのお願い」など分かりやすい形で衛生管理の徹底と顧客への発信を行っているレストラン、ロウリーズ・ザ・プライムリブ恵比寿ガーデンプレイス店の支配人、五井直樹に現状について聞いてみた。
ロウリーズ・ザ・プライムリブ恵比寿ガーデンプレイス店は、ロサンゼルスで創業したプライムリブ専門のレストラン。日本では赤坂など3店舗展開しており、銀色の大きなカートに乗った豪快なプライムリブを目の前で好みの大きさと焼き加減でカットしてくれること(写真)で人気の店。
きめ細やかなサービスやビンテージウッドを用いた落ち着いた空間は定評があり、デートや家族の記念日などに利用されることの多い一軒だ。非常事態宣言中は、店内飲食を休業しテイクアウトのみで展開、6月1日からデリバリー販売も実施している。
現場に即した「5つの感染拡大予防策」、アクリルパーテーションは選択制に
5月27日に営業再開し「客足は従来のリピーターを中心に少しづつ戻ってきている」と五井は話す。このまま推移すれば、昨年同時期の半分程度には戻るのではと予測している。
もちろんコロナ対策は入念に行っており、その柱となるのが「5つの感染拡大予防」と「感染防止のための6つのお願い」という二つの施策だ。これは、同店を運営するワンダーテーブル本社で用意したものだが、細やかに現場の声が反映されている。
例えば「ご要望があればアクリルパーテーションを用意します」という一文は、当初全ての席にアクリルパーテーションを付けていたところ、ほとんどの客に「悪いんだけど取ってくれないか」と言われるため、設置を数テーブルに限定し「飛沫が気になるならご用意がございます」という対応に変更したのだそう。
分かりやすく明快なデザインなので、客側としてもストレスなく注意事項などを受け入れることができそうだ。
コロナ対策の衛生サービスはさり気なさを意識している
「営業再開当初、お客さまに『感染防止のための6つのお願い』を入り口で全て詳しく説明していましたが、不評な上、情報が上滑りし傾聴してもらっていないと感じ、すぐに方法を改めました。今は入り口では全体の説明を簡潔に行い、入り口で該当する項目のみ詳しく説明、席に案内する間や着席さ
「当店の売りの一つである銀カートに乗せて席前でプライムリブをカットするサービスも、やめてしまうのではなく、各お客さまに判断してもらっています。店側は頼まれた際に、十分に配慮しながら行うことに意識を向けています」と五井は語る。
もちろん、それで対応をおろそかにしているわけではない。化粧室のアルコール除菌はドアノブだけでなく蛇口、ウォシュレットのボタンまで接触する可能性のある部分は毎時除菌を行っている徹底ぶりだ。
テイクアウトからデリバリーに人気がシフトした
店内飲食以外の需要は非常事態宣言解除後、テイクアウトからデリバリーに人気がシフトしつつあるそうだ。4月にテイクアウト販売をスタートすると看板商品であるアメリカンローストビーフは瞬く間に完売。ゴールデンウィークや母の日にも大人気だったが、6月に入ってからは2割程度の売上しかないとのこと。
代わりに、6月1日から日本交通タクシーとともに始めたデリバリーは、セットのみの販売だがファミリー層に人気とのこと。また、家でも美味しく食べられるように作り方動画を発信するなど、それぞれの需要に応えられるよう工夫を凝らしている。今後もテイクアウト販売やデリバリーは店内飲食とともに継続していく予定だ。
「店舗再開し、改めてお客さまが店に来てくれることや『おいしい』と言ってくれることに喜びを感じました。そうした初心を大切に、楽しいひとときを過ごしてもらえるよう日々調整しながらベストの対策を取っていきたい」と五井は言葉を締めくくった。
コロナ対策のスタイルにも店の色はにじみ出てくる。今後は新しい店選びの指標の一つにしてみるのもいいかもしれない。
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