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撮影:中村 悠希
横浜の街全体を舞台にした3年に1度の音楽フェスティバル『横浜音祭り』が2019年9月15日(日)〜11月15日(金)に開催される。先日、同イベントに先駆けて記者発表会が行われ、横浜アーツフェスティバル実行委員会委員長や横浜市長、総合ディレクターのほか、期間中の演目に参加する私立恵比寿中学、葉加瀬太郎、バイオリニストの村治佳織らもゲスト登壇した。
今回で3回目となる本イベントは、あらゆる差を超えて誰でも楽しめるクリエイティブ・インクルージョンと、次世代育成という2本の主テーマに沿って多数のプログラムが企画されている。
ほかにはない新しい試みは、分身ロボットOriHimeを活用した取り組みだ。OriHimeにより離れた場所で音楽鑑賞できるだけでなく、仕草や発話を通して会話することが可能になる。寝たきりなど家から出ることが困難な人にも、貸し出されたOriHimeを通してコンサート会場の臨場感が共有され、体験を提供する。
また前回も実施され好評だった『ミュージック・イン・ザ・ダーク』が今年も実施。視覚障害のある人とない人との合同メンバーによる、照明を消したホールで行われる弦楽オーケストラだ。観客も視覚をシャットダウンした中で音楽を楽しむことができる。
こうしたプロジェクトの根幹に、運営側の強い思いが感じられた。中でも、ディレクターの新井鷗子(あらいおーこ)が語る「あらゆる人に届けるを、理念や理想にしない。音楽を水道や電気などのインフラのように、街の隅々、あらゆる人々にまで届けたい」という一言は印象的だった。
プロの吹奏楽奏者と一緒に演奏できる『わくわくブラス!』や、
もちろん、純粋な音楽としての魅力も事欠かない。オープニングはイタリア出身の若きカリスマ、アンドレア・バッティストーニ指揮する東京フィルハーモニー交響楽団が登場。
目玉となるオリジナル企画『ヨコハマ・ポップス・オーケストラ2019』は、『踊る大捜査線』などで知られる映画監督、本広克行(もとひろかつゆき)がプロデュースするオーケストラ公演。大河ドラマ『軍師官兵衛』など数々の大ヒット作の劇伴を手掛けた菅野祐悟(かんのゆうご)が作曲、指揮、ピアノを担当する。本広の映画音楽を、神奈川フィル・ハーモニー管弦楽団と、ももいろクローバーZの異色タッグでパーフォーマンスする。菅野もインタビューの中で「僕にとっても面白い試み。今、ももクロさんと面白い企画をいろいろ企んでいるところ」と意気揚々だった。
駅前広場やストリートでは、私立恵比寿中学や英国近衛軍楽隊などが参加する『街に広がる音プロジェクト』を開催。会期中は、プロ・アマ問わないオールジャンルのアーティストによるミニコンサートなどが、横浜市各所で繰り広げられる。
そのほか、300を超えるプログラムが横浜市各所で実施される。街中が音楽で包まれる62日間、お好みのプログラムを見つけて参加してみてはいかがだろうか。