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タイムアウト東京 > ローカルレジェンド> #20 ロカビリーショップオーナー エロヴィス佐藤
「ロカビリーは、自分の生き様」と話すのは、1950年代の音楽とカルチャーに深く魅了されたエロヴィス佐藤。原宿で25年以上続くロカビリーショップ原宿ジャックス(Jack's)のオーナーであるほか、バンドのボーカルや音楽プロデューサーとしても活躍している人物だ。
エロヴィスは、中学校の入学式で「長ラン」を着たリーゼント姿の先輩と出会い、上着に施された竜と虎の刺繍(ししゅう)に感銘を受けた。その後、当時不良たちの心を掴んだクールスや、矢沢永吉がメインボーカルを務めていたキャロルなど、ロックンロールを聴くように。1950年代を舞台にした青春映画『グローイング・アップ』にも影響を受け、その後40年にわたり「50'sロカビリーカルチャー」にさらにのめり込んでいった。
ある日のエロヴィス。原宿ジャックスにて
1980年代になると、ロックンロールスタイルで踊る若者「ローラー族」の全盛期がやってくる。毎週日曜日になるとローラー族が、歩行者天国になった代々木公園の並木道に集結し、原宿では様々な種類のロカビリーショップが急速に成長し始めた。エロヴィスは、ブームの中心であったクリームソーダ(現ピンクドラゴン)などの伝説的な店を訪れ、原宿の街そのものに恋に落ちた。
ローラー族が集まっていた歩行者天国
そして1994年に、ロカビリーファッションやアクセサリー、ライフスタイルグッズを販売する原宿ジャックスをオープンさせる。クリームソーダのオーナー山崎眞行(やまざきまさゆき)の「人と違うことをやれ」という言葉を胸に、遊び心溢れる店を目指した。「店は分かりづらい場所にあるんだけど、この文化に対して本当の愛を持つ人が日本全国、海外からも来てくれる。良いクオリティの服はここに集まってるよ」とエロヴィス。
店にはアメリカンジョークが利いた雑貨や、ジャックスオリジナルのポマードなどもある
アタリを探しに……
エロヴィスは自身の店を「ひとつのアトラクション」と言う。「ただ商品を売るという感覚で商売はしてないんだ。たとえば、棚のどこかにアタリを隠すこともある。よく探すと、驚くほど安いものや、あまりにも高すぎるものを発見できるかもしれない」と遊び心を明かした。
今後の目標を尋ねると、「東京のロカビリーシーンを活性化し、若い世代と繋がっていくこと」というエロヴィス。「ゆくゆくは、私の娘たちが店を引き継いでくれるといいな」と笑顔で付け加えた。
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