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「DJブースで死ぬか、厨房で死ぬことができたら本望です」と、82歳の世界最年長DJ、スミロックこと岩室純子(いわむろ すみこ)は話す。岩室は、戦後に父が始めた高田馬場の老舗餃子店、餃子荘ムロの店主として厨房に立ち、イベントがある日はその足で現場に駆けつける。
DJを始めたのは、岩室が65歳のときに自宅に下宿していたフランス人のエイドリアン(音楽イベント『Tokyo decadance』などを主催する人物)との出会いがきっかけ。エイドリアンと何度か音楽イベントに遊びに行ったとき、自分もプレイしたいとDJに興味をもつようになった。「父親はジャズミュージシャンでした。血筋なのかもしれないです」。その後、自宅で練習をするだけでは満足せず、腕を磨くため2012年よりDJスクールの「IDPS」に通い、今では月に1、2回イベントでプレイするようになった。
高田馬場出身ということで、岩室が登場するときの曲は決まって『鉄腕アトム』のテーマ。ダンスミュージックを中心にテクノやEDMまでを自在に操り、年齢を感じさせないパワフルなプレイを繰り広げる。「まだまだミックスは難しいので、もっと上手になりたいです」と意欲を覗かせる。現場に到着するとファンや知り合いが周りに集まり、抱擁を交わしたり、岩室の写真をズボンに貼ったファンが現れたりと温かい歓迎を受けていた。
2017年9月には寿司チェーン、St. Pierre’sのイベントに出演するためにニュージランドへ。DJパフォーマンスを通じてオーディエンスを沸かせた。最後にこれからの目標を尋ねると、「夢はニューヨークでプレイすること」と話した。