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東京は、世界で最もバーが多い都市である。東京のバーカルチャーは成熟し、世界トップバーのランキングに入るオーセンティックバーや、ハーブを使ったカクテルでバーシーンを席巻する新世代のバーなどでひしめき合っている。そんな東京を含め、伝説的バーマンのチャールズ・
シューマンは、世界中のバーでバイブルとなったレシピ本『シューマンズ バー ブック』の著者で、ミュンヘンで35年以上にわたり不動の人気を誇るトップバーのオーナー。76歳を超えた現在もカウンターに立ち続けている。映画では、バーの原点を求めてニューヨークやパリ、東京、ハバナの名店を訪問するのだが、その中に登場する東京のバー4軒を紹介したい。
1. スタア・バー・ギンザ
NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』に登場したことでも話題になった岸久(きし ひさし)のバー。並木通り沿いにひっそりと居を構えている。1996年、『世界カクテルチャンピオンシップ』において31歳の若さで優勝した岸は、今やバー業界の重鎮として一目置かれる存在だ。リキュールはもちろんのこと、名物の透明度が高いハンドカットのアイスや手巻きのおしぼりなど隅々までこだわりが感じられる。間違いなしの名店だ。
2. バー ハイ・ファイブ
世界のバーやバーショーを飛び回る、上野秀嗣(うえの ひでつぐ)がオーナーを務めるハイ・ファイブ。上野は、スタア・バー・ギンザで、岸の右腕として活躍した後、2008年7月に独立した。フレッシュフルーツを使ったカクテルや、大正時代から人気のある、100万ドルのカクテルという名前を持つ『ミリオン・ダラー』など、日本発のクラシックカクテルも楽しめる。
3. ベンフィディック
京王プラザホテル近くの、新宿の喧噪を忘れてしまう一角にあるバー。中世スコットランドのウイスキー密造家屋をイメージした店内で、ミステリアスな気分に浸ることができる。薬草を使った酒を多く提供しており、マスターの鹿山博康(かやま ひろやす)が育てた自家栽培のハーブやスパイスが入った瓶がずらりと並んでいる。メニューの用意はなく、自分好みのリキュールや味を伝えると、薬剤師のようにカウンターの後ろにずらりと並ぶ瓶からハーブを取り出し、カクテルを丁寧に作ってくれる。フレッシュフルーツのカクテル類も絶品。ぜひ一度は味わってみてほしい。
4. テンダー
銀座の名店ロオジエで活躍してきたバーテンダー上田和男(うえだ かずお)のバ―。装飾を押さえたシンプルシックな店内は、ホテルのバーを思わせるゆったりとしたカウンターとテーブル席で構成される。適度な距離感を保った接客が、少人数で静かに過ごしたい夜には心地よい。「ミスターハードシェイク」と呼ばれる上田の妙技から生み出される絶品カクテルは1,600~3,000円ほど。特別な日の締めくくりに味わってみてはいかがだろう。
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