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大塚の夜間経済を盛り上げるため有識者らが意見を交わす『豊島区アフター・ザ・シアター懇談会』の第3回会合がこのほど、OMO5東京大塚で開かれた。参加者たちが、ディスカッションやナイトツアーなどを通じ、大塚が目指すべき夜の姿について理解を深めた。
懇談会は昨年12月から、池袋で開催されてきた。訪れた人々に、劇場の街・池袋で夜の時間帯も楽しんでもらうため、「アフター・ザ・シアター(観劇後)」と銘打ち、学者や弁護士、企業役員、タレントなど幅広い有識者を招き、進むべき方向性などについて議論を重ねてきた。大塚での開催は初めてで、この日は地元の商店街や町会の関係者も参加してディスカッションが行われた。
懇談会では、最初に区長の高野之夫があいさつ。「大塚は、地域の皆さんが緑化や美化に取り組んだり、阿波踊りや音楽祭など個性的なイベントを開催したりしている。のれん街もリノベーションされた。大塚がどう変わっていくのか、この懇談会で議論しながら進めていきたい」と話した。
続いて、世界のナイトライフ事情に詳しい弁護士の齋藤貴弘が、各都市の事例を紹介。「ニューヨークはナイトライフ局を、アムステルダムはナイトメイヤー(夜の市長)制度を、ロンドンはパープルフラッグ制度をそれぞれ創設している」と解説し、「特に世界で課題なのが、女性にどう夜の街を安全に楽しんでもらえるかということ。その先行事例としても大塚が注目されていくはず」と述べた。
その後は、出席者らが順に意見を述べ、トリップアドバイザー代表の牧野友衛は、「外国人には、徒歩や自転車で街をめぐる体験が人気。特に歩いて居酒屋に連れていけるかどうか(は大切)。大塚はそれができる。これはアドバンテージだと思う」と指摘。A.T.カーニー日本法人会長で懇談会座長の梅澤高明は、「買い物頼みの訪日観光は終わった。コト消費をどれだけ伸ばすことができるかが大切」と強調し、「今日の会場のOMO5は、街自体を観光コンテンツにしようとしている。これはすごいことで、大塚はそのモデルケースになり得る」と話した。
ほかにも、住民と有識者からは「大塚にはシャンソンやアルゼンチンタンゴなど様々なジャンルのライブハウスがあるので活用しては」「大塚駅から近いところに街がある。開発の際でもそうした良さは残してほしい」「南口側はベトナムやネパールからの外国人が多い。少し違う盛り上げ方を探りたい」などの声が上がった。
トークイベントが終わると、出席者らは、OMO5の街案内スタッフ「OMOレンジャー」によるガイドツアーに参加。約6人ずつ5グループに分かれ、1971年創業の天ぷら屋「つづみ」や、アットホームな雰囲気の「スナックサンライト」、クラフトビールのタップルーム「タイタンズ」など2店舗ずつ巡り、夜のディープな街の魅力を満喫。大塚でしか味わえない、歴史ある味わいに舌鼓を打った。
ツアーの最後は、イタリアンダイニングの「シスイドゥー」に集い、美酒をたしなみながら、大塚の街おこしについて互いにアイディアを語り合っていた。
齋藤は、「OMOレンジャーだけでなく、大塚は商店街や住民たちの熱量が高く、ウェルカムな雰囲気がすごい。昔からこだわりを持ってやっている店が多く、掘れば掘るほど魅力が出てくる」と、街が秘めるポテンシャルについて期待を寄せていた。