[title]
宿泊者と地域のつながりを創出するホテル、NOHGA HOTEL UENO(ノーガホテルウエノ)が2018年11月1日(木)、台東区の上野にオープンする。上野駅から徒歩5分とアクセスも良好だ。
特筆すべきは、ホテルの至るところに、台東区の魅力を発見できるアイテムが取り入れられていること。「地域との深いつながりが生まれる素敵な経験」をコンセプトに掲げており、ホテルで使用するアメニティから食器、アートまで、地域と提携した品々を採用している。提携店舗やブランドの数は20以上にのぼり、東京でも歴史深い市街地の一つである台東区の魅力を、ホテルの中にいながら体験することができるのだ。
ここで挙げられるのはごく一部だが、注目ポイントを紹介しよう。
まず、エントランスをくぐると、IDEEの創設者、黒崎輝男などが手がけたギャラリースペースが広がる。はじめとした地域のアーティストによる作品のほか、世界中の現代アートを展示していく。
ホテルのルームキーは、明治時代から家紋職人としてのルーツをもち、東上野に工房を構える紋章上絵師『京源』がデザインを担当。ルームキーと同じ柄を使用したアート作品なども、ホテル内に飾られている。
何かをメモしたい時は、蔵前発祥の文房具専門店、カキモリのペンを手に取ろう。インクはホテルのオリジナルカラー。文字を書く瞬間が少し特別になりそうだ。
ホテルが貸し出す自転車も台東区発祥。谷中に直営店を構えるスタイリッシュなレンタバイクショップ、Tokyobike Rentals(トーキョーバイクレンタルズ)によるホテルオリジナルカラーのバイクが、町巡りを一層楽しくしてくれるだろう。
共用スペースには『TOMOKO SAITO aromatique(トモコサイトウアロマティック)』による、オリジナルのアロマの香りが漂う。上野の街が持つ自然の豊かさや、美術館などがある文化的側面をイメージしたアロマで、ヒノキやユズが香り、リラックスできる空間を演出していた。
客室は、木目調のゆったりできる雰囲気。家具やベッド、ルームウェアにいたるまで、日本のものづくりのクオリティの良さを伝えるオリジナルグッズにこだわった。客室は全130室あり、ダブル、ツイン、スイートから構成。車椅子の宿泊客向けのユニバーサルルームも1室完備されている。
客室内のブラシや、靴べら、ハンガーなどの小物は、鳥越に社屋を構える日用品のデザインプロダクトショップ、SyuRo(シュロ)と開発。台東区をはじめ日本全国の職人の手によって作られた、良質なプロダクトを客室内でも体験できる。
地域の味を提供
ホテルでの食事にも注目したい。1階の直営のレストラン、Bistro NOHGAでは、小島にある木本硝子や、三筋の日伸貴金属など、台東区でも江戸時代からの老舗が手がける美しい器で食事が楽しめる。
料理はフレンチベースだが、朝食ビュッフェでは和食も提供。鳥越で60年以上天然醸造の味噌を販売している郡司味噌漬物店や、1927年創業の上野の佃煮屋、鮒藤(ふなとう)商店など、世代を超えて愛される地域の味が取り入れられている。蔵前で自家焙煎のコーヒーを提供している名店、蕪木(かぶき)によるホテルオリジナルコーヒーなども見逃せない。
歴史に富んだ地域と、宿泊客を繋げる拠点へ
今回ホテルが提携した店舗やブランドには、ガイドブックでも見られない、知る人ぞ知る隠れた名店も多数。ホテル開業前に、同社では周辺店舗を400軒以上回ったという。そこで築き上げた、地域との強いつながりがあってこその品質であり、セレクトだと言えよう。
しかしなぜ、ここまで「地域提携」にこだわったのか。3年前の企画段階から、当ホテルの開業に向けチームを率いてきた、野村不動産ホテルズ株式会社の中村泰士に話を聞いた。
「すでに宿泊施設が溢れている地区なので、地域の特徴を活かしたものにしたかったのです。上野をはじめ、台東区には江戸時代から続き、時を経ても変わらない文化や伝統が残っています。そんな魅力ある地域の店や人々と、ここを訪れた国内外のお客様との『つながりを生み出す場所』を目指しました。提携店には直接コンセプトを説明し、多くの方が快く協力してくれました。滞在中に、この地域を好きになっていただければ何よりです」(中村氏)
さらに現在も、スタッフによるホテル周辺のおすすめのスポットの発掘は続いているという。
同ホテルでは、地域住民と協力し、宿泊客でない一般の人も参加できるワークショップも毎週開催予定。日本酒グラスのテイスティングセミナーや、前出のTokyobike Rentalsによる街ガイド、日伸貴金属による銀器製作の体験などを実施する。地域に根ざした魅力を発見し、地域住民との交流もできるホテル滞在なら、思い出深い旅になりそうだ。