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驚くことではないが、とても悲しいことが起きている。アメリカ博物館協会(AAM)が最近発表した調査によると、全米の博物館や美術館の3分の1が2020年の終わりまでに閉館する可能性があるというのだ。
調査対象となった施設で館長を務める760人の33%が秋までに休館するかもしれない「重大リスク」に直面していることを認めた。その主な理由は、もちろん運営資金に関係するものだ。回答者の87%が、今後12カ月もしくはそれより短い期間分しか運営を継続するための資金がないと答えている。
アメリカ博物館協会の会長兼CEOであるローラ・ロットは、プレスリリースで、「新型コロナウイルスの大流行で全ての文化施設が閉鎖したとき、我々の施設の収益が一夜にしてなくなってしまいました。悲しいことに、それらの多くが回復できていないのです。そういった施設では、今後数カ月のうちに一時的に再開されたとしても、必要な費用を収入で賄えません。そして、多くの施設には財政的なセーフティーネットがないのです。我々が直面している苦痛は、単に施設だけの問題ではありません。1万2000もの施設がなくなってしまうことは、地域社会、経済、教育システム、そして私たちの文化史に壊滅的な打撃を与えるでしょう」と危機的状況を説明している。
このプレスリリースは、協会が2020年3月に発表した書簡に続くもの。そのなかで協会は政府に対して博物館や美術館存続のための資金援助を要請。「全米では、新型コロナウイルスの影響を受けた一時閉館のために、私たちの施設では少なくとも一日当たり3,300万ドル(約34億円)を失っています」と書いていた。
ロットによると、平均的に言って、施設の資金の4分の1は政府からのものだが、多くの施設が収益をミュージアムショップやチケット販売、イベントなどに大きく依存している。それらは、新型コロナウイルスの大流行の影響を受けて無期限に停止されているものばかりだ。
博物館や美術館の閉館は、最終的に普通のアメリカ人の日常生活にも影響を与えるだろう。芸術や文化を追求することができなくなるだけでなく、さまざまな機関に雇用された人々が職を失うことになる。協会は声明で、「博物館や美術館は72万6000もの直接、間接雇用を支援し、経済へ毎年500億ドル(約5兆2,500億円)を貢献している。再開できる施設のうち、40%以上が職員の削減を計画しており、安全に再開できるようにするために追加の資金を費やす必要があるだろう」と述べた。
ほかの業界と同様に、博物館や美術館の職員は、社会的距離を保ちながら、来館者を歓迎しよう斬新で創造的な方法を探してきた。バーチャルツアーに始まり、時間をずらした再オープン、マスク着用の必須化などの施策を導入しながら、ヨーロッパやそのほかの地域では、徐々にではあるが人々を迎えることができている。アメリカの施設でも同じようなことが起こることを願うばかりだ。
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