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「暗い、汚い、臭い、怖い」といった理由から敬遠されがちな公衆トイレ。印象の問題だけでなく、車いすの利用者や障がいがある人々にとっては使用が困難なことが多いため、利用者が限られているのが現状だ。そんな公衆トイレの問題を変えるべく、日本財団は渋谷区の協力を得て『THE TOKYO TOILET』プロジェクトを立ち上げた。
誰もが快適にトイレを使用できるプロジェクト
2020年8月5日に恵比寿公園で開催された説明会では、日本財団常務理事を務める笹川順平(ささかわ・じゅんぺい)が登壇。着工まで2年の歳月をかけた理由には、障がいがある人々が行動しやすい街づくりの構想が根底にあったという。また「臭い、汚い」印象を払拭すべく、これらの公衆トイレの清掃回数を一日3回に増やすと発表した。
インテリアデザイナーの片山正通(かたやま・まさみち)が手がけた恵比寿公園のトイレは、コンクリートでできた15枚の壁が組み合い、現代の「川屋(厠の語源)」から着想したユニークなデザイン。男性用、女性用、だれでもトイレの三つの空間は明るく広々としており、車いすでも入りやすい造りとなっている。男女ともに、トイレ個室にはベビーチェアやおむつの交換台が設置されている点にも注目したいところだ。
国内外で活躍するアーティスト16人が手がけるインクルーシブなトイレ
今回完成したのは、恵比寿公園のほか、坂茂(ばん・しげる)が手がけた代々木深町小公園、はるのおがわコミュニティパークのトイレ。8月7日には田村奈穂(たむら・なお)、槇文彦(まき・ふみひこ)による2カ所のトイレが利用開始となる。
また今後も安藤忠雄、伊東豊雄、隈研吾、藤本壮介、佐藤可士和、ニゴー(NIGO)、マーク・ニューソンなど、著名な建築家やデザイナーらによるトイレが完成を待っている。今後は2021年夏までに、渋谷区内で全17カ所のトイレが設置完了を予定。プロジェクトの公式サイトを開設し、情報発信などを行う見込みだ。
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