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アジア屈指のフォトフェスティバル『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭』。毎年夏にフランスで行われる『アルル国際写真フェスティバル』のように、KYOTOGRAPHIEでは、京都の市内各所で一連の写真展が開催され、世界各国の写真家による初公開の作品の数々が展示される。展示会場は通常のギャラリーのみならず、京都文化博物館 別館、京都新聞印刷工場跡、二条城といった、文化的価値の高い名所が名を連ねるのもユニークだ。
同フェスティバルは毎年4月に開催され、そのために京都を訪れるだけの価値があるだろう。もし、今年のフェスティバルを見逃してしまったのなら、現在その展示の一部を東京で見れるのでぜひ足を運んでほしい。
Benjamin Millepied 'Freedom in the Dark' supported by Zadig & Voltaire Photo: Takeshi Asano
KYOTOGRAPHIEの創設者であるルシール・レイボーズと仲西祐介は、京都の街が持つエネルギーと雰囲気に魅了され、2013年にプロジェクトを開始した。2人は今、その舞台を東京へと広げようとしている。目指すゴールは、街の多面的な姿に光を当てつつ、アートをより身近なものにすることだ。
初開催の去年に引き続き、今回2回目の開催となるTOKYOGRAPHIEは、現在フジフィルム スクエア、ザディグ エ ヴォルテール青山店、アニエスベー ギャラリー ブティック、カシヤマ ダイカンヤマで開催されており、会期は2020年1月12日(日)まで。今年のKYOTOGRAPHIEから抜粋された作品が展示され、入場は全て無料だ。ここでは、TOKYOGRAPHIEで作品が展示される5人のアーティストを紹介しよう。
Ryuichi Sakamoto, New York City, 1989. Photo: Albert Watson
アルバート・ワトソン
アルバート・ワトソンは、間違いなく現代で最も人気の高い写真家の一人だ。世界中で『VOGUE』の表紙を100以上撮影し、映画『キル・ビル』『SAYURI』『ダ・ヴィンチ・コード』といった数々の映画のポスターも手がけている。よく知られているのは、ミック・ジャガー、アルフレッド・ヒッチコック、スティーブ・ジョブズなど著名人のポートレート。KYOTOGRAPHIEで展示されたコレクション『Wild』は、坂本龍一のアルバム『BEAUTY』のジャケット用に撮影されたポートレートや風景写真を展示する。会期は2019年12月12日(木)まで。
Photo: Vik Muniz/Xippas Gallery for Ruinart (TBC)
ヴィック・ムニーズ
ブラジル人アーティストのヴィック・ムニーズは、彫刻家としてキャリアをスタートした後、写真をメインに手がけるようになった。彼の作品は、自身で制作した作品を撮影したものが多い。今年ムニーズは、世界最古のシャンパーニュメゾン 、ルイナールにアーティスト イン レジデンスとして招へいされた。そこでワイン生産業者やブドウ畑にインスピレーションを受けたムニーズは、黒く染めた木や木炭、シャルドネの葉などの有機的な素材を用いて一連の作品を制作した。複数の媒体を使用した彼の作品は、見る者に対して、現実と記憶の関係を常に問うことを促す。会期は2019年12月8日(日)まで。
Photo: Weronika Gęsicka, Vibe, 2019. Courtesy of the artist and Jednostka gallery.
ヴェロニカ・ゲンシツカ
ヴェロニカ・ゲンシツカは、既存のストックフォトに似たビンテージの写真を歪ませた作品が特徴。ゲンシツカは元の写真に手を加えることで、新しく時に不穏な写真をうみ出し、新たな視点から異なるストーリーを伝えている。天田万里奈がキュレーターを務めたゲンシツカの展示『What a Wonderful World』は、1950〜60年代のアメリカで撮影された写真を使ったシリーズ『Traces』の作品から構成され、記憶のための手段として使われる写真の真実性に疑問を投げかける。会期は2020年1月12日(日)まで。
Photo: Benjamin Millepied
ベンジャミン・ミルピエ
ニューヨークシティバレエ団のプリンシパルダンサーだったベンジャミン・ミルピエは、2010年のサイコスリラー映画『ブラック・スワン』の振り付けで知られ、彼自身映画監督としても活躍している。初のモノクロ作品個展『Freedom in the Dark』では、11枚の写真作品とダンサーを映した映像作品1点を展示する。「時間と空間を探究する作品だ」とミルピエは語っている。会期は2019年12月15日(日)まで。
Photo: Kensaku Seki
関健作
日本人写真家の関健作(せき・けんさく)による示唆に富んだ作品シリーズは、アスリートの世界のダークな側面、自らの記録更新のために限界へと挑み続けるアスリートたちをテーマにしている。会期は2019年12月12日(木)まで。
『TOKYOGRAPHIE』についての詳細は公式サイトで確認してほしい。次回の『KYOTOGRAPHIE』は京都にて2020年4月18日(土)から5月17日(日)までの開催を予定している。