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KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2020は国際的に著名な写真家の多様な作品を京都市内各所にて展示する一連の展覧会だ。印刷工場であった建物や文化財の寺院など、インスタレーションにとって完璧な舞台となる、京都で最も魅力的な空間を使っているのが特徴だ。
例年であれば春に開催されるのだが、新型コロナウイルス感染症のために今回は数カ月延期され、最終的には2020年9月19日(土)〜10月18日(日)の開催が決定した。一部の展覧会は無料だが、有料の展示もあるので、全ての展覧会とプログラムに入場できるパスポート(3,500円)を購入してもいいだろう。ここでは『KYOTOGRAPHIE 2020』の16の展示の中から、見逃せない五人のアーティストを紹介する。
ウィン・シャ
ウィン・シャは香港写真界をけん引する存在であり、映画監督ウォン・カーウァイの元専属フォトグラファー兼グラフィックデザイナーとして『花様年華』のような高く評価された映画を通して親しまれている。従来の写真とは一線を画した、親密で彩度の高い写真が特徴だ。
これまでの数十年間にわたってシャは、チャイニーズポップのスターたちのミュージックビデオの製作から『ルイ・ヴィトン』や『メゾン・マルジェラ』といったラグジュアリーブランドの撮影まで映画やアート、ファッションでの仕事に注力してきた。
KYOTOGRAPHIEでは、ウォンとのプロジェクトでのアイコニックなスチールとともに最新作のいくつかを展示する。
誉田屋源兵衛 竹院の間にて展示、時間は10〜18時(入館は閉館の30分前まで/休廊日は9月29日、10月6、13日)、料金は1,000円、学生800円
福島あつし
神奈川を拠点に活動する福島あつしは、大阪芸術大学で写真を学び、東京綜合写真専門学校研究科を修了した。高齢者向けの弁当配達の仕事をしていく中で、日本の高齢化社会のめったに出合えない光景を撮影する機会を得たという。「死と老いは向き合うのが難しい問題だと分かったが、見る人が写真を通して老いと死の美しさと醜さの両面に向き合ってもらえたら」と福島は語る。
伊藤佑 町家にて展示、時間は10〜19時(9月19〜22日、10月2、3、9、19、16〜18日は21時まで/休廊日は9月28日、10月5、12日)、料金は1,200円、学生1,000円
オマー・ヴィクター・ディオプ
セネガル出身の写真家オマー・ヴィクター・ディオプは、
KYOTOGRAPHIEでは、2カ所でディオプの展覧会を開催する。一つは京都府庁旧本館旧議場で、もう一つは店主たちのポートレートが展示される出町桝形商店街だ。
京都府庁旧本館 旧議場にて展示、時間は10〜17時(入館は閉館の30分前まで/休廊日は9月28日、10月5、12日、9月19日は10〜12時30分、15時30分〜17時)、料金は無料
甲斐扶佐義(かい・ふさよし)
大分生まれの甲斐扶佐義は、50年以上にわたって精力的な写真家として活動してきた。11歳の頃に写真を撮り始め、以来京都の人々のイメージを通して日本の社会問題やカウンターカルチャーを記録し続けてきた。
京都で人気のバー、八文字屋のオーナーとして、甲斐はこの街と人々と親密な関係性を築き上げている。本展では、鴨川近くの3カ所で野外展示を行い、鴨川を訪れる地元民の写真を通して京都人がレンズ越しの自分を見る機会を提供してくれる。
京都駅ビル 空中経路にて展示、時間は10〜17時、料金は無料
片山真理
マルチメディアアーティストの片山真理は、2014年に最初の個展を恵比寿で開き、以来2019年の第58回ヴェネツィア・ビエンナーレと同年のパリ・フォトなど世界中の芸術祭に招待されている。片山は先天的に両足の成長が阻害される疾患のため、9歳のときに両足を切断した。初期の手縫いの作品は、この出来事に着想を得ている。kyotographieで展示する最新シリーズ『in the water』では、自身の身体をめぐるセルフポートレートの美しい連作を扱う。
嶋臺(しまだい)ギャラリー、10〜18時(入館は閉館の30分前まで/休廊日は9月29日、10月6、13日)、800円、学生600円
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