[title]
日本政府が7月開始を目指していた『Go To キャンペーン事業』が延期となる見込みだ。主な理由は、この事業の予算として経済産業省に計上された1兆6,794億円のうち、最大3,095億円に達する見込みの運営事務委託費が高額との批判を受け、政府が2020年6月8日を締め切りとしていた公募の中止を6月5日に発表したためだ。
この事業は、新型コロナウイルス感染症の流行収束後に影響を受けた地域の経済を再活性化させるための、官民一体型の需要喚起キャンペーン。対象は観光、運輸業、飲食業やイベント、エンターテインメント業であり、その概要は以下の4項目に分けられる(いずれも区分は仮称)。
1. Go To TRAVEL
旅行業者などを経由して期間中の旅行商品を購入した消費者に対し、代金の2分の1相当分のクーポンなど(宿泊割引に加え、 地域産品、飲食、施設などの利用クーポンを含む)を付与する(一人1泊当たり最大2万円分)。
2. Go To EAT
オンライン飲食予約サイト経由で、期間中に飲食店を予約、来店した消費者に飲食店で使えるポイントなどを付与する(最大一人当たり1,000円分)。また、登録飲食店で使える食事券(2割相当分の割引など) を発行。
3. Go To EVENT
チケット会社経由で、期間中のイベント、エンターテインメントのチケットを購入した消費者に割引、クーポンなどを付与(2割相当分)する。
4. Go To 商店街
商店街などによるキャンペーン期間中のイベント開催などに商店街当たり最大300万円を支援、複数商店街による広域のプロモーション、 観光商品開発などを行う場合には最大500万円を上乗せ可能となる。
しかし、野党は厚生労働省が新型コロナウイルス感染症対策に充てた6,695億円と比べて、このキャンペーンの金額が巨額過ぎると指摘、さらに事務委託費が最大3,095億円にもなることに関して、零細事業者への持続化給付金をめぐる電通などへの委託費問題と共に「非常に不透明」「契約内容を国民に説明すべき」と批判していた。
これらの批判を受けて、国土交通大臣の赤羽一嘉は6月5日の大臣会見で「無駄を省いて事務委託費を適正化していくことが重要である」と述べ、9日の会見では「事務経費の正当性についても重要な評価項目として」審査するとし、公募を一旦中止、所轄省庁ごとの事業に分割した上での再公募を行う方針を示した。
赤羽は新しい開始時期について「現時点では未定」で、「一定の期間を要する可能性がある」とも述べた。なお、委託費について農林水産大臣の江藤拓は、効率的な執行で結果的に費用を減らせるとの見解も示している。
関連記事