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今月公開される映画は、まさに「夏」といったカラッとした豪快な作品と、大人の切なさを感じるしっとりとしたものに分かれたようだ。子どもと一緒に、はたまた友人とも楽しめる作品は『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』と『ペット2』。大人な夏映画では、懐かしい映像美と音楽で静かに感情を揺さぶる『サマーフィーリング』、個性派俳優ポール・ダノの監督デビュー作『ワイルドライフ』、日本と台湾合同製作の青春ノワール『パラダイス・ネクスト』を勧めたい。じめっとした梅雨が続く今月は、夏の切なさに浸ってみては。
『ワイルドライフ』※7月5日公開
映画『リトル・ミス・サンシャイン』や『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』でおなじみの繊細でオタクな雰囲気が魅力的な個性派俳優ポール・ダノが、ついに監督デビュー。公私にわたるパートナーであるゾーイ・カザンも共同で脚本と製作に携わり、悲しくも美しい壊れゆく家族の愛の物語を描いた。主演はキャリー・マリガンとジェイク・ギレンホール。二人の安定した演技と、ダノによる長回しを多用したエモーショナルな映像。これからもハリウッドを引っ張っていくであろう30代の才能の集大成となる作品だ。
『サマーフィーリング』※7月6日公開
(C)Nord-Ouest Films - Arte France Cinema - Katuh Studio - Rhpone-Alpes Cinema
映画『アマンダと僕』でデビューした注目のフランス人監督ミカエル・アースの長編2作目。ベルリン、パリ、ニューヨークを舞台に、突然愛する人を失った人々が苦しみながらも再生していく過程を描く。荒い粒子とビビッドな色合いが特徴的な16ミリフィルムで全編撮影された本作は、1990年代のヨーロッパアート映画のようだ。しかし、『グッドタイム』などで知られる気鋭の映画監督ジョシュア・サフディやインディーロック界のカリスマ、マック・デマルコなどがサラッと劇中に登場することで、現代の映画だと主張する。蒸し暑い夏の夕方のような、まぶしさの中に切なさがキラキラと光る美しい作品は劇場を出た後もロマンチックな気持ちに浸らせてくれるだろう。
『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』※7月12日公開
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2019 ピカチュウプロジェクト
1998年に公開されたポケモン映画シリーズの第1作を、フル3DCG映像でリメイク。ハリウッド版の映画『名探偵ピカチュウ』は私たちの知っているピカチュウと違って驚いたが、本家の愛くるしいピカチュウをもう一度見てみよう。子どもの時に、本作を見た記憶がある人にとっては懐かしくもあるが、大人になってまた見るのとは一味違う体験ができるだろう。ポケモン映画化シリーズの原点にして、最高峰の作品だ。ポケモンたちのかわいらしさと懐かしさに悶絶間違いなし。
『ペット2』※7月26日公開
(C)Nord-Ouest Films - Arte France Cinema - Katuh Studio - Rhpone-Alpes Cinema
2016年に大ヒットした映画『ペット』の続編。飼い主が出かけている間のペットたちの生活そして冒険という、夢あふれる物語で子どものみならず大人のファンも多い。続編では新たな仲間が加わりさらなるドタバタ劇と感動が爆発しそうだ。愛する飼い主に子どもが生まれ、その子を守ることが使命になったマックスとデューク。猫屋敷に潜入することになってしまう相変わらずのズッコケぶりな仲間たち。自分をスーパーヒーローだと思っているクレイジーなウサギ、スノーボールに友人のホワイトタイガーを助けてほしいとお願いに来たシーズーのデイジー。このデイジーの規格外のかわいさは劇場でしかと目に焼き付けるべきだ。動物好きの心を打つ期待の一作だ。
『パラダイス・ネクスト』※7月27日公開
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妻夫木聡と豊川悦司が主演を務める、ノワールサスペンス。台湾に身を隠して暮らすヤクザと、そこへ逃げてきた若者は、ある事件を共通点に追手から逃げる旅に出る。道中で出会う2人の運命の相手役には、妻夫木とも共演したことのある台湾の人気女優ニッキー・シエが演じる。本作が長編映画2作目となる監督の半野喜弘は、ホウ・シャオシェンやジャ・ジャンクーら中華圏の巨匠たちの映画音楽で世界に知られる才能だ。テーマ曲は日本が誇る世界的作曲家、坂本龍一によるもの。中華圏とつながりの強い監督と台湾人スタッフによる全編台湾ロケにこだわった本作は、夜の湿気やカラフルな景色、街の匂いをリアルに感じられるアジアの才能の結晶だ。
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