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※Time Out Beijingからの転載記事
テキスト: Yu Zhiming
中国の若者にオースティン・リー(李佳琦)を知っているかと聞けば、必ずと言って良いほど「はい」と返ってくるだろう。リーは毎晩8時になると、上海のスタジオからコスメ用品の紹介動画を配信する。これを、TikTokでは1900万人、Weiboでは170万人、そしてタオバオ(淘宝網)※ では160万人のフォロワーが観るのである。彼は、現在の中国で最も有名なライブストリーマーと言えるだろう。
※アリババ・グループが投資して設立されたショッピングサイト
オースティン・リーとは?
リーは1992年に湖南省で生まれた。大学でダンスを学ぶ傍らL’Oréalコスメの販売をしていた彼は、2017年にはタオバオの専業ライブストリーマーとなった。それからというもの、彼の人気は着実に伸びている。2時間のライブストリームセッションの間に380本以上ものリップスティックを試した際の配信では、15分間に15000本が売れた。ハスキーな声でチャーミングに話すリーは、面白い上に気取らない。そして見た目にも細心の注意を払っている。
彼が注目を浴びている理由
「ハオハオカン(かわいすぎ)」「やばい、君の唇が芸術みたい」。これがリーのキャッチフレーズになっており、彼のエンターテイメントと商売の素質を表している。商品の推薦にも中立的な立場なのも、今時のライブストリーム情勢においては珍しい。彼は商品が気に入らなければ大手ブランドでも仮借のない批判を下し、「リーは頼りにできる」という印象を視聴者に与えている。
さらに、リーは女性消費者の心情を細やかに理解しているのだ。もっと明るい肌を望む女性もいれば、セレブのライフスタイルを真似たいという者もいる。彼は、女性たちのさまざまな悩みに対して、「色黒の女の子はこの色合いを使ったらもっと白く見える」とか、「あるセレブはこれと全く同じリップスティックを使ってる」というかたちで答える。
オースティン・リーの成功が物語る、中国におけるライブストリーム販売の未来
リーは、視聴者を購入客に転化できることを証明した。サウスチャイナモーニングポスト紙によると、タオバオのライブストリームプラットフォームにおける顧客転換率は32%と、前代未聞ともいえる確率を打ち出している(2016年に行われたGrapevineによる調査では、米国におけるインフルエンサーの平均顧客転換率はたったの2.6%であった)。またテンセント(騰訊)※ は、今年中にタオバオライブの大規模な事業拡大戦略を図っていることが先日報告された。テンセントはこれを通して年間の売り上げを10億元以上に伸ばすことを目標としている。そこでは、複数のプラットフォームや商品カテゴリにまたがり、千人のライブストリーマーに専門的な訓練を提供する予定である。近い将来に、ポスト オースティン・リーがどんどんと出てくる状況が予想されるのだ。
※インスタントメッセージサービスの「WeChat& Weixin」や「QQ」などを提供している中国の企業