現代アジアを代表するシンガポール出身の演出家オン・ケンセンが、野田秀樹の戯曲『三代目、りちゃあど』を演出。SPAC(静岡県舞台芸術センター)での、『ふじのくに せかい演劇祭2016』でも上演され、歌舞伎役者の中村壱太郎、狂言師の茂山童子をはじめとした日本の伝統から、宝塚やアングラ劇団まで、さらにはシンガポール、インドネシアのキャストが多数参加し、大きな話題を呼んだ。シェイクスピアの代表作『リチャード三世』を下敷きにした、野田らしい巧みな言葉遊びに溢れた原作を、ケンセンは文化単位での戯れに翻案し、エネルギッシュでアジア的な作品へと変貌させた。3ヶ国語が入り混じる舞台になるので、『リチャード三世』に加えて『ヴェニスの商人』のおおまかなストーリーは復習しておいて損はないだろう。音楽を担当するのは、黎明期におけるダムタイプの世界的躍進に大きな貢献を果たした山中透。情報量の多い舞台をギリギリのところで繋ぎ止める音楽にも注目だ。
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