ビルの2階に約16.5平方メートルという小さな空間に広がる「toi=問い」の世界では、「生きるということ」や「考えるを考える」「仕事って何だろう」など、独自の切り口で分けられた棚に書籍が並んでいる。
「トイブックス(toi books)」がオープンしたのは、2019年4月。店主は「斜陽産業」といわれる書店業界の良いニュースになればという思いから開業した。コンセプトは「良い本は答えだけではなく、新たな問いを与えてくれる」だ。
メインは小説や詩、短歌などの文芸書で、充実した品揃えが魅力。近年注目を集めている韓国文学やフェミニズムに関する本も丁寧にフォローしている。写真集や絵本など、目で見て楽しめるアイテムもある。狭いがゆえ、本の並びはどこを向いても「濃く」、幾度も手が伸びてしまう。落ち着いた雰囲気も相まって、長居してしまうこともあるだろう。
この店の小さな楽しみは、本を購入した際にもらえる「しおり」。おすすめの小説についての紹介文がみっちり載ったデザインで、読む手を止めるタイミングが新たな本との出合いになるという演出は粋である。同様のデザインが施されたクリアファイル(A5サイズ、400円、税込み)もあるので、本好きの人への大阪土産にもいいだろう。