月岡芳年の作品を「血」「妖艶」「闇」というキーワードから掘り下げる展示が、太田記念美術館で開催。
芳年は残酷な殺害シーンや死骸を描いた「血みどろ絵(無惨絵)」と通称されるジャンルを手がけ、その代表作『英名二十八衆句』全14点のほか、「東錦浮世稿談(あずまのはなうきよこうだん)」や「魁題百撰相(かいだいひゃくせんそう)」などを紹介する。
「妖艶」では、そこはかとなく妖しげな美人が登場する代表作『風俗三十二相』、「闇」からは月にまつわる歴史や物語を描いた『月百姿』や妖怪を題材とした『和漢百物語』が選ばれている。
見どころは「浮世絵史上、最も残酷な一枚」と銘打って展示される『奥州安達がはらひとつ家の図』。妊婦を逆さづりにして腹を裂こうとする老婆の姿を描いたものだが、近づいて見ると、単に残忍さを強調するのではなく、衣装などにも技法を凝らした作品であることに気づかされるだろう。
会期中、前後期で全点展示替えなので気をつけておきたい。前期は8月1日(土)〜30日(日)、後期は9月4日(金)〜10月4日(日)。