日本ではめったに見ることのできない、中世ヨーロッパの写本の展覧会が国立西洋美術館で開催中。
印刷技術が発明される前の中世ヨーロッパにおいては、獣皮紙でできたページに挿絵の施された彩飾写本は板絵や壁画と同じく重要なメディアの一つであった。
本展は、中世の彩飾写本に強く魅せられた内藤裕史氏のコレクションをまとめて公開する最初の展示で、中核となるのは13世紀以降のゴシック写本だ。この時代の彩飾写本では、文字の中に絵が描かれたり、テクスト欄外の余白へ彩色が施されることが多く、本展で目にすることができるのもそうした作例が中心となっている。
写本の裏表を見ることができるよう工夫した展示や、写本に近づいて運筆や彩飾、金の光沢などを堪能できる貴重な展覧会。東京藝術大学附属図書館から借用したファクシミリ版の写本も併せて展示されるので、必見だ。