16世紀のネーデルラント絵画を紹介する展覧会。先駆者たるヒエロニムス・ボスと、彼を手本としたピーテル・ブリューゲル1世の作品を中心に、絵画、版画、彫刻など約90点を展示する。2016年に没後500年を迎え、「奇想の画家」としてブームとなっているボス。伝統の写実的な緻密な描写をいかしつつも、地獄や妖怪が描かれた宗教画で名を馳せた彼の作品には暗示がちりばめられ、観賞者を作品の前に留まらせる力を持っている。16世紀の人々は彼の作品に熱狂し、こぞって作風を真似たが、その一人がブリューゲル1世だった。ボスから多大な影響を受けた彼の代表作である『バベルの塔』もまた、その精緻な描写から観賞者を魅了して止まない。ボイマンス美術館の誇るコレクションを観に、ルーペ持参で上野へ出かけてほしい。
※東京都美術館 企画展示室にて